著者
下川 淳 福山 透
出版者
社団法人 有機合成化学協会
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.75, no.11, pp.1115-1124, 2017-11-01 (Released:2017-11-09)
参考文献数
174
被引用文献数
1

Five total syntheses of heteropolycyclic natural products, namely hyalodendrin, tryprostatins, spirotryprostatin A, the core of the stemofoline alkaloids, and hinckdentine A, are outlined. These syntheses share common characteristics; the sequences of transformations are facilitated through the development of new synthetic reactions and the discoveries of unknown molecular reactivities. Brief descriptions of new reactions, the mechanistic details of key transformations, and the resulting shortcuts and efficiencies made possible in relation to the overall “picture” of these total syntheses are described.
著者
福山 透 横島 聡 下川 淳
出版者
名古屋大学
雑誌
特別推進研究
巻号頁・発行日
2008

医薬品として使用されている天然有機化合物、または医薬品としての使用が期待されている天然有機化合物の効率的合成経路の開発を目指し、合成研究を行った。具体的にはエクテナサイジン743、リゼルギン酸、ヒューパジンA、サリノスポラミドなどの合成経路の開発に成功した。また独自に開発した合成経路を応用することで、オセルタミビル、ビンブラスチンなどの新規類縁体合成を行い、新規活性化合物の取得に成功した。
著者
福山 透 徳山 英利 菅 敏幸 横島 聡 下川 淳
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2003

本研究課題では、独自に開発した合成方法論、および独創性が高く高効率的な合成デザインによる、真に物質供給に耐えうる全合成法の開発を目的として、ヘテロ元素を含む高次構造天然物の全合成研究をおこなった。その結果、当研究室で独自に開発した芳香族アミノ化反応を用いることで、デュオカルマイシン、ヤタケマイシンを、不斉CH挿入反応によるジヒドロベンゾフラン環合成法を用いることでエフェドラジンA、セロトベニンを、ラジカル環化反応によるインドール合成法を用いることでストリキニーネ、コノフィリン、アスピドフィチンを、それぞれ合成することに成功した。また独創的合成デザインに基づき、FR901483、リゼルグ酸、モルヒネ、オセルタミビルの効率的合成法の開発に成功した。強力な抗腫瘍活性を有しながらも天然からは微量にしか得ることが出来ないヤタケマイシンにおいては大量合成にも成功し、市場における化合物供給にも耐えうる方法論を確立した。またタミフルについて、その副作用の原因究明のための研究に対して、活性化合物を提供した。セロトベニンの全合成では光学活性試料の合成に成功し、生合成経路におけるラセミ化機構の解明に大きな知見を与えることが出来た。また全合成の達成には至らなかったものの、レモノマイシン、UCS1025A、プラキニジンA、アルテミシジン、アニサチン、レペニンの合成研究を行い、有機合成上有用な知見を得ることが出来た。以上の研究成果が得られたことより、本研究課題の目的を十分達成することが出来たものと考えている。以上のように本研究課題の成果は、有機合成化学を基盤とした幅広い研究分野に対して、大きく貢献することができた。