著者
福山 透 徳山 英利 菅 敏幸 横島 聡 下川 淳
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2003 (Released:2003-04-01)

本研究課題では、独自に開発した合成方法論、および独創性が高く高効率的な合成デザインによる、真に物質供給に耐えうる全合成法の開発を目的として、ヘテロ元素を含む高次構造天然物の全合成研究をおこなった。その結果、当研究室で独自に開発した芳香族アミノ化反応を用いることで、デュオカルマイシン、ヤタケマイシンを、不斉CH挿入反応によるジヒドロベンゾフラン環合成法を用いることでエフェドラジンA、セロトベニンを、ラジカル環化反応によるインドール合成法を用いることでストリキニーネ、コノフィリン、アスピドフィチンを、それぞれ合成することに成功した。また独創的合成デザインに基づき、FR901483、リゼルグ酸、モルヒネ、オセルタミビルの効率的合成法の開発に成功した。強力な抗腫瘍活性を有しながらも天然からは微量にしか得ることが出来ないヤタケマイシンにおいては大量合成にも成功し、市場における化合物供給にも耐えうる方法論を確立した。またタミフルについて、その副作用の原因究明のための研究に対して、活性化合物を提供した。セロトベニンの全合成では光学活性試料の合成に成功し、生合成経路におけるラセミ化機構の解明に大きな知見を与えることが出来た。また全合成の達成には至らなかったものの、レモノマイシン、UCS1025A、プラキニジンA、アルテミシジン、アニサチン、レペニンの合成研究を行い、有機合成上有用な知見を得ることが出来た。以上の研究成果が得られたことより、本研究課題の目的を十分達成することが出来たものと考えている。以上のように本研究課題の成果は、有機合成化学を基盤とした幅広い研究分野に対して、大きく貢献することができた。