- 著者
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谷川 恵一
青田 寿美
木戸 雄一
山下 則子
高木 元
中丸 宣明
青木 稔弥
- 出版者
- 国文学研究資料館
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2004
幕末から明治初期にかけての時期に刊行された仮名垣魯文の著作をひとつひとつ検討していくという基礎作業を積み重ねた本課題は、当該時期の文学・文化研究の学術基盤の整備に関して、主として以下のような成果を挙げた。1.従来の仮名垣魯文の著作目録を大幅に補訂し、236点に及ぶ魯文の著作を掲出し、それぞれの著作の所蔵先を併記した著作目録を作成した。なお、本目録では、当時の戯作者と本屋(版元)をめぐる出版状況に鑑み、魯文序や魯文〓といった一般的には著作と扱われない作品をも拾い出すことで、より広範な問題領域に対応させた。2.80点の魯文の著作または魯文に関連する著作について、書誌事項を中心とした詳細な解題を作成した。3.明治8年から12年にかけて魯文を主筆として刊行された『仮名読新聞』の記事の中から、魯文およびその周辺人物の動向に関連した記事を拾い出し、仮名読新聞記事データベースを作成した。4.購入した原本や原資料を展示に供し、また研究成果の一部を取り込んで、詳細な解説を付した展示目録を作成・配布することによって、研究活動を対外的に拓いたものとした。これらに加え、従来明らかでなかった以下の事項について取り組み、明治初期という過渡期における文学と出版文化との研究を進展させた。5.新聞に掲載された〈つづきもの〉が単行本として刊行される過程において、著者・版元・読者がどのように関与したのか、具体的な作品に即しながら再構成した。6.「著作道書キ上ゲ」として知られるテクストを同時代の情況の中で多角的に分析することによって、明治という新たな時代を迎えたときの魯文たち戯作者の動向を明らかにし、文学史におけるあらたな戯作の位置づけを提出した。