著者
福﨑 有希子 島 美倫 中井 里史 小宇佐 友香 浅木 麻衣子 小林 芳久 高橋 和清 國分 優孝 星 純也 坂元 宏成 後藤 有紗
出版者
公益社団法人 大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.92-99, 2020

<p>関東地方南部における光化学反応に大きく寄与している芳香族炭化水素、アルケンの発生源地域を推定するため、東京湾岸地域で2時間ごとの揮発性有機化合物 (VOCs) 集中観測を実施した。得られたデータを用いて、芳香族炭化水素と1,3-ブタジエンについて16方位別に全調査対象VOCs合計濃度に対する濃度割合を算出した。その結果と化学物質排出移動量届出制度 (PRTR) データから算出した16方位別距離加重排出量の傾向がおおよそ一致することから、東京湾岸地域の大気中VOC濃度および濃度割合は周辺の発生源と風向の影響を大きく受けていることが示唆された。各調査地点で調査対象VOCsに対するアルケンの濃度割合が最も大きい風向は川崎市および市原市沿岸部の方向であり、PRTRデータから確認できる1,3-ブタジエンの排出地域の方角を示した。このため、PRTR対象外のエチレンやプロピレンなどの主要なアルケン成分についても同地域から排出されていることが示唆された。</p>
著者
高橋 奎 中井 里史
出版者
一般社団法人 室内環境学会
雑誌
室内環境 (ISSN:18820395)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.221-229, 2020 (Released:2020-12-01)
参考文献数
7

化学物質過敏症に関しては, 臨床的また環境学的な研究は多々あるものの, 日常生活を送る中でのケアやサポートといった側面からの研究はほとんどおこなわれていない。本研究はこのような状況を考慮し, 患者のかかえる悩み等の現状, さらには身近にいて日常生活をサポートする家族との認識等の一致や違いを探り, 患者へのケアやサポートを行う際や, なんらかの改善が必要となる場合に役立ててもらうことを目的として, 化学物質過敏症患者とその家族を対象に調査票を用いた調査を行った。症状が出現する原因に関してはある程度の一致は認められたが, 日常生活で気をつけることに関しては, 患者と家族の考えに高い一致性が認められたものは必ずしも多くなかった。回収率が高くないこともあり, どの程度本研究で得られた結果を一般化できるかに課題があるが, 患者と家族の認識の一致性に関する基礎的情報をある程度得ることができた。しかし今後も, 基礎的な情報を得る努力を継続することが必要である。
著者
本田 靖 中井 里史 小野 雅司 田村 憲治 新田 裕史 上田 佳代
出版者
筑波大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2008

本研究は,東アジアにおけるエアロゾルの健康影響,特に死亡への影響を,疫学的手法を用いて明らかにしようとした.日本,韓国,台湾の主要都市における粒子状物質濃度,日別死亡数などのデータを収集した.福岡市など九州地域では粒子状物質濃度に越境汚染の影響が示唆されたが,東京などでは大きな影響は見られなかった.死亡への影響ははっきりしなかったが,福岡で大きいという可能性が示唆された.