著者
脇阪 一郎 柳橋 次雄 小野 雅司 平野 靖史郎
出版者
Japan Society for Atmospheric Environment
雑誌
大気汚染学会誌 (ISSN:03867064)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.120-127, 1985-04-20 (Released:2011-11-08)
参考文献数
16
被引用文献数
3

桜島を中心にして半径50kmの地域を距離間隔5kmの同心円によって10地域に区分し, それら区分地域の間で, 昭秘3年から57年までの15年間の総死因並びに各種呼吸器系疾病による死亡像を比較した。更にまた, 総死因および喘息, 気管支炎, 肺気腫を一緒にした呼吸器系疾病の訂正死亡率の年次変動と桜島の爆発回数との関係を検討した。結果は次下の如くである。(1) 桜島から距離30km以内の区分地域においては, 気管支炎, 肺気腫およびインフルエンザにょる死亡実数は標準人口をあてはめた期待死亡数より有意に多かった。しかも, これらの区分地域の間には, 上記カテゴリーの疾病の標準化死亡比に桜島からの距離に関して一定の勾配傾向がみられ, 火山活動がこれらの疾病による死亡を高めることに関係している可能性を示唆する。(2) 総死因並びに喘息, 急性気管支炎, 肺癌および結核の死亡実数は, 対象地域全体としてみた場合にそれぞれの期待死亡数を有意に上回った。しかし, 肺炎の死亡実数は, 対象地域全体としてのみならず, どの区分地域においても期待死亡数より少なかった。更にまた, これらのカテゴリーに属する疾病の標準化死亡比には, 区分地域間で一定の勾配傾向を見出せず, これらの疾病の死亡パターンに対しては桜島の火山活動の影響はないことが示唆される。(3) 桜島に近い区分地域内では, 気管支炎, 喘息, 肺気腫をあわせた呼吸器系疾病の年次別訂正死亡率は, 火山の爆発回数がピークを示した年 (1974年) に一致して上昇しており, 桜島に近い地域においては, これらのカテゴリーの呼吸器系疾患の年間死亡に対する火山性大気汚染の因果関係が示唆された。
著者
小野 雅司 登内 道彦
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.147-157, 2014 (Released:2014-03-28)
参考文献数
24
被引用文献数
5

我々は気象庁の協力を得て,国内 6 都市(気象台)において 2007 年より黒球温度の連続観測を行い,WBGT(湿球黒球温度)を算出,ホームページより公開してきた.これらの観測データを元に,黒球温度,湿球温度を使わず通常気象要素のみにより WBGT を簡便に推定する方法を提案する. 乾球温度,相対湿度,全天日射量,風速,及び,これら気象要素を組み合わせた乾球温度 × 相対湿度,全天日射量の二次項を用いることにより極めて高い精度で WBGT を推定できる式を得た.また,異なる都市,異なる年度のデータを用いて求めた推定式は,同一都市・同一年度のデータを用いて求めた推定式と比較して,ほぼ同程度の推定精度が得られ(推定誤差 1.0°C 以内:98.3~99.8%),全国共通の WBGT 推定式としての使用が可能と考えられる.
著者
小野 雅司
雑誌
日本衞生學雜誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, 2008-03-01
著者
小野 雅司 登内 道彦
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.147-157, 2014

我々は気象庁の協力を得て,国内 6 都市(気象台)において 2007 年より黒球温度の連続観測を行い,WBGT(湿球黒球温度)を算出,ホームページより公開してきた.これらの観測データを元に,黒球温度,湿球温度を使わず通常気象要素のみにより WBGT を簡便に推定する方法を提案する.<br> 乾球温度,相対湿度,全天日射量,風速,及び,これら気象要素を組み合わせた乾球温度 &times; 相対湿度,全天日射量の二次項を用いることにより極めて高い精度で WBGT を推定できる式を得た.また,異なる都市,異なる年度のデータを用いて求めた推定式は,同一都市・同一年度のデータを用いて求めた推定式と比較して,ほぼ同程度の推定精度が得られ(推定誤差 1.0&deg;C 以内:98.3~99.8%),全国共通の WBGT 推定式としての使用が可能と考えられる.<br>
著者
田村 憲治 小野 雅司 安藤 満 村上 正孝
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.111-114, 1995-08-01
被引用文献数
9
著者
本田 靖 中井 里史 小野 雅司 田村 憲治 新田 裕史 上田 佳代
出版者
筑波大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2008

本研究は,東アジアにおけるエアロゾルの健康影響,特に死亡への影響を,疫学的手法を用いて明らかにしようとした.日本,韓国,台湾の主要都市における粒子状物質濃度,日別死亡数などのデータを収集した.福岡市など九州地域では粒子状物質濃度に越境汚染の影響が示唆されたが,東京などでは大きな影響は見られなかった.死亡への影響ははっきりしなかったが,福岡で大きいという可能性が示唆された.