- 著者
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中前 博久
- 出版者
- 一般社団法人 日本造血・免疫細胞療法学会
- 雑誌
- 日本造血細胞移植学会雑誌 (ISSN:21865612)
- 巻号頁・発行日
- vol.10, no.1, pp.48-57, 2021 (Released:2021-01-15)
- 参考文献数
- 48
移植後大量シクロホスファミドを用いたHLA半合致血縁間移植(PTCy-haplo)は,HLA半合致移植のプラットホームとなりつつある。しかしながら,近年の一連のメタ解析にはHLA適合移植と比較して,慢性GVHDのリスクは低いものの,HLA適合非血縁と比べると再発が多いとする報告がある。再発率の低減のためには,PTCy-haploによるgraft-versus-leukemia(GVL)効果の機序に関する分析が重要である。PTCy-haploにおいてはGVL効果には,NK細胞による同種反応が大きな役割を果たしていることを示唆するいくつかの報告がある。しかしながら,PTCyがNK細胞の回復に影響を与えるという報告もある。今後さらなる成績改善のために,ドナー選択方法,移植片の細胞輸注量,PTCyの至適用量やタイミング,および免疫抑制剤の投与方法など,さまざまな角度からの検討の必要があると考える。