著者
大島 純 新原 勇介 太田 健介 大島 律子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.333-342, 2010
参考文献数
23
被引用文献数
2

本研究の目的は,協調学習活動の分析にネットワーク分析の手法を応用し,分散認知の観点からグループの知識進展や学習者個人の貢献の様相を俯瞰的に明らかにすることであった.対象とした協調学習グループは,大学の教職必修講義において,学習理論と実践の関連性を学習した5名であった.各学習者の発言のネットワーク分析から,学習内容に関わる重要発言は他の発言を媒介する傾向が強いが,時間の推移とともにその媒介性が低下することがわかった.こうした全体傾向と学習者個人の重要発言の推移を比較することで,各学習者の学習プロフィールを作成しその特徴を明らかにした.その結果,小集団で長期的に行われる協調学習を評価する際に,俯瞰的にその対話全体の特徴を明らかにし,より詳細な分析を必要とする学習者や対話の箇所を選定してく分析として有益であることが示唆された.
著者
中前 博久 日野 雅之 太田 健介 鈴木 賢一 青山 泰孝 酒井 宣明 阪本 親彦 長谷川 太郎 山根 孝久 巽 典之
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.216-220, 1998 (Released:2009-04-28)
参考文献数
13

症例は22歳,未婚女性,看護学生,低色素性貧血ならびに不明熱にて入院となった。入院後,鉄欠乏性貧血と診断し,鉄剤の投与を行っていたが周期的に貧血の進行がみられた。特に外泊後に急激な貧血の進行が認められていたことより,われわれはfactitious anemiaを強く疑い,テレビモニターでの監視ならびに所持品検査を行ったところ,患者病室のロッカーならびに自宅より多数の注射器,注射針および血液の入ったボトルが発見された。以上より本症例をfactitious anemiaと診断した。患者は自己瀉血を認め,心療内科医のカウセリングにより貧血の改善傾向がみられたが,退院6カ月後に通院しなくなった。十分量の鉄剤投与に反応を示さない極度の慢性低色素性貧血患者にはfactitious anemiaを考慮する必要がある。