著者
朴 壽永 安江 紘幸 中尾 宏
出版者
農業情報学会
雑誌
農業情報研究 (ISSN:09169482)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.1-13, 2018 (Released:2018-03-30)
参考文献数
30
被引用文献数
1

多量の情報がインターネットでやり取りされるIoT(Internet of Things)の時代で,ICT(Information and Communication Technology)を利活用した実用性の高いウェブ型SWOTやTOWS分析ツールはまだ見当たらない.また,参加者以外によるアイディア発想を促す手法も確立されていない.日本の農業は,高齢化に伴う離農や耕作放棄地の増大,グローバル規模での市場開放など大きな変化に直面しており,これらの課題解決と農業振興を図る上で従来にない様々なアイディアが求められている.そこで本稿では,豊かなアイディアの発想を促すため,インターネット上でブレインストーミングやKJ法によるアイディア発想が具現できるiSWOT(internet SWOT analysis tool)を開発した.そして,アイディアとアイディアが互いに干渉して第2のアイディア発想を促すことを干渉作用と呼んでいることから,参加者による干渉を内部干渉に,プログラムによる干渉を外部干渉に分け,内部や外部干渉作用を果たす複数の機能をiSWOTに実装した.若手農業生産者と普及指導員を対象にiSWOTを用いて機能テストを行った結果,その有用性が示唆された.
著者
中尾 宏 下嶋 聖 関山 絢子 ナカオ ヒロシ シモジマ ヒジリ セキヤマ アヤコ Nakao Hiroshi Hijiri Shimojima Ayako Sekiyama
雑誌
東京情報大学研究論集
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.47-69, 2012-09-30

企業は将来にわたって事業を継続することを前提に利潤を追求し自らを発展させてきた。近年、これに加えて企業も社会を構成する一員であるとの考えから、自らの発展と同時に社会貢献が求められるようになった。特に「企業の社会的責任」元年と呼ばれる2003年以降、多くの企業が「企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility 以下CSR)」を推進している。企業が行う植樹活動もその多くがCSRの一環として始められ、環境活動を行う環境CSRの具体的な方策として植樹による「企業の森づくり」に参加する企業が急増している。しかし、それらは、都道府県との連携による森づくりであり、短期的な企業主導の森づくりであるため、地域の森林計画や地域住民の意識との乖離といった課題が明らかになっている。本論では、企業のCSR報告書を中心に、資料・文献を整理したうえで、聞き取り調査を行い、これらの課題を解決するために企業が行う新たな活動形態として、ピジョン株式会社が茨城県常陸大宮市の社有地で行う「ピジョン美和の森」植樹活動の特異性を明らかにした。環境CSRの一環として行う植樹活動を自社の保有地で行い、自社の資産として森づくりを進めるためには、他の有形・無形の資産同様、維持管理のための持続的森林管理方法の構築が必要である。A company, developing its business in chase of profits, is required contribution to society as a member of the community. Since 2003, many companies have developed and promoted corporate social responsibility (CSR). In recent years, more and more companies introduce an activity of foresting as a part of CSR. The number of companies with CSR Forest is rapidly increasing. However, other studies have concluded that the creation of a forest is dissociated from the local forest plan because of domination by administrative division and short-term contract.In this article, first of all, the current reality of foresting by companies was clarified by the survey of CSR reports. Secondly, the investigation was made of the company continuing planting trees in its own land as CSR for years to reveal the uniqueness of the activity. The following are the main findings(: a)many companies have lack of knowledge about forestry preservation and(b) it is requested to construct the management system for forest assets like established one for other tangible or intangible assets.
著者
本多 昇 岡崎 光良 藤原 重彦 中尾 宏量 渋鍬 啓
出版者
岡山大学農学部
雑誌
岡山大学農学部学術報告 (ISSN:04740254)
巻号頁・発行日
no.37, pp.27-41, 1971-03

1.1964年6月15日および8月1日に,岡山県山陽町でMuscat Bailey Aの28園について採葉して葉分析をおこなった. N含量については6月15日に2.63%(100)であったものが8月1日には2,16%(82)となっていることは不当な栽培法によるものと思われる. Mg含量は6月15日に0.19%(100),8月1日には0.33%(174)であるから,本品種は6月15日に"早期潜在的苦土欠乏"に陥っているということができる. 2.8月29日から10月16日までに4回にわたり,葉の片側から,その下方と上方から合計4切片(1切片当り1cm2)を打ち抜いた. 10月29日現在無処理の半面と他の半面との間でN,P,K,CaおよびMgの含量については,Ca以外にはほとんど差が認められなかった. 3.8月29日,9月29日および10月29日の葉内N含量は2.11%(100),1.90(90)〔100〕および1.49(71)〔78〕であって,10月末までに葉中N化合物が樹体内に移行する量は多くはない. Kは9月下旬の多雨による溶脱のためか,9月29日に1.10%〔100〕となったが,10月29日には1.87%〔170〕となった. 9月29日から10月29日の間のMg葉量の増大率(66%)はCaのそれ(21%)より大である. 葉内P含量は9月15日から10月29日の間でほとんど差がない. 4.10月29日現在,クロロシス発現葉の右側半分および左側半分の脈間部のMg含量は0.34%および0.30%であったが,健全葉のそれらは0.40%および0.33%であった. Muscat Bailey AのMg欠乏症発現についての8月の葉中Mg含量の安全限界濃度は0.30%と推定された。