著者
武田 朋恵 中島 そのみ 松下 慎司 平山 容子 渡邊 まゆみ
出版者
公益社団法人 北海道作業療法士会
雑誌
作業療法の実践と科学 (ISSN:24345806)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.34-39, 2020 (Released:2020-05-29)
参考文献数
5

発達性協調運動障害がかかえる手先の不器用さの一つに箸がうまく使えないことがあげられているが,介入報告例は少ない.今回,箸を握り持ちしている発達性協調運動障害児に対して,箸の材質を変えて指の動きを観察したところ,市販の木箸と比較し,木製の使い捨て割り箸を使用時に手指の屈曲と押し付けが弱く,指の動きを引き出しやすい様子が確認できた.そこで,割り箸で把持物体を挟んで容器に移す操作練習と手指巧緻動作の基盤となる身体中枢部の安定性を高める介入を実施した.介入3か月後に母指が箸の開閉に関わるようになり,介入6か月後には木箸でも同様の操作が可能となり,食事時の握り持ちの状態は改善した.
著者
中島 そのみ 仙石 泰仁 中村 裕二 加藤 静恵 岸 玲子
出版者
日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.309-316, 2010-06-15

要旨:ベイリー乳幼児発達検査一第2版(以下,BSID-Ⅱ)は乳幼児期の発達状況を評価できる,国際的にも用いられることの多い検査の一つである.しかし,日本では標準化されておらず使用報告が少ない現状にある.本研究では,生後6ヵ月児192名にBSID-Ⅱを実施し,日本版デンバー式発達スクリーニング検査(以下,JDDST)から見たBSID-Ⅱの有用性を検討した.BSID-ⅡのMentalとMotorの平均得点は米国の標準値よりも約10低い値であった.また,BSID-ⅡのMental,MotorはともにJDDSTの関連領域との間で感度・特異度が高く有用性が認められた.しかし,本邦においてはBSID-ⅡのMotorは過剰に遅れと判定する可能性があった.
著者
佐木 成子 中島 そのみ 岸 玲子
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

妊娠中の喫煙曝露と化学物質に対する遺伝的感受性の個体差が胎児発育に関与することはいくつか報告されてきたが,出生後の神経発達・認知機能への影響についてはまだ十分な検証がされていないことから,妊娠23~35週に前向きコーホート研究に登録した妊婦を対象として,胎児期の喫煙曝露と母親の遺伝的感受性素因による交互作用が小児神経発達に及ぼす影響を検討した。外来異物と結合してチトクロムP450(CYP)などの発現誘導に関与しているアリル炭化水素受容体(AhR)やたばこ煙に含まれる化学物質である多環芳香族炭化水素類(PAHs),ニコチンやニトロソアミン類などの代謝,解毒に関与する酵素の遺伝子多型およびDNA修復に関与する酵素の遺伝子多型について解析したが,喫煙曝露による小児神経発達への遺伝-環境交互作用に有意な関連は認められなかった。