著者
岩永 竜一郎 仙石 泰仁 加藤 寿宏
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.631-639, 2022-12-15 (Released:2022-12-15)
参考文献数
63
被引用文献数
1

近年,作業療法の対象患者のなかに注意欠如・多動症(Attention Deficit Hyperactivity Disorder;以下,ADHD),自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder;以下,ASD),発達性協調運動症(Developmental Coordination Disorder;以下,DCD)など,いわゆる神経発達症のある子どもや大人が増えてきている.
著者
野田 孝子 坂上 真理 仙石 泰仁
出版者
日本健康学会
雑誌
日本健康学会誌 (ISSN:24326712)
巻号頁・発行日
vol.87, no.3, pp.100-112, 2021-05-31 (Released:2021-06-21)
参考文献数
31

Autism spectrum disorder is characterized by social communication difficulties, as well as restricted, repetitive behaviors and interests including those resulting from hyper- or hypoactive sensory input. The characteristics of the symptoms of females with ASD are not well-studied since the previous studies were conducted mainly on males with ASD. In particular, it is unclear how women’s menstruation and psychosomatic symptoms may influence the daily living activities of females with ASD, when they co-occur with their ASD symptoms. The purpose of this study was to investigate the effects of ASD symptoms and premenstrual symptoms on daily living activities in women with ASD based on the patients’ own experience.[Methods] We conducted semi-structured interviews on seven women with ASD and analyzed the changes in psychosomatic symptoms experienced before menstruation and their effects on daily living activities using a qualitative descriptive research method.[Results] Based on the analysis, the following three categories were elucidated: “premenstrual symptoms that become more severe due to the enhancement and appearance of hyperesthesia,” “difficulty in daily living caused by worsening of premenstrual symptoms,” and “self-management ability in symptomatic treatment and life improvement.”[Conclusion] Before menstruation, women with ASD experienced a unique physical disorder due to hyperesthesia, a characteristic of disability. These affected daily and social activities, causing difficulty in their lives. It was revealed that the subjects had created a way of dealing with premenstrual symptoms by their own ingenuity and advancing their self-understanding; however, they wanted to be better understood by people around them.
著者
野田 孝子 仙石 泰仁
出版者
NPO法人 日本自閉症スペクトラム支援協会 日本自閉症スペクトラム学会
雑誌
自閉症スペクトラム研究 (ISSN:13475932)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.123-131, 2021-09-30 (Released:2022-09-30)
参考文献数
20

自閉スペクトラム症(ASD)女性は、知的能力障害やダウン症候群の女性と比較し、月経前症候群(PMS)の割合が高いとされるが、その実態は明らかではない。本調査では、ASD女性のPMSリスクの実態を明らかにすることを目的とし、20~44歳までのASD 女性78名から自記式質問紙による調査を実施した。その結果、ASD女性はPMSリスクを伴う割合が高く、中でも精神症状が重症化しやすいことが明らかとなった。また、PMS全体のスコアとASD女性のQOLには関連があることも明らかとなり、ASD女性の健康を維持するためには、月経に伴うホルモン変動の影響をふまえた継続的な支援の検討が不可欠であることが示唆された。
著者
小塚 直樹 橋本 伸也 宮本 重範 小神 博 横井 裕一郎 仙石 泰仁 三島 与志正
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.371-375, 1992-07-10
被引用文献数
2

大規模な設備が不要で, 被検者に対しても様々な負担がかからない歩行分析を検討する目的で, 痙直型脳性麻痺児20名, 正常児10名を対象に側方からの映像歩行解析を行いスティックピクチュアにより定量化した。その結果, crouching gait を呈する脳性麻痺群と正常群との間に歩行速度, 股関節・膝関節の運動性, 歩幅, 立脚期/遊脚期の比率との間に有意差が認められたが, 上下の重心動揺は有意差が認められなかった。また脳性麻痺群において, 歩幅と歩行速度の間の相関傾向が, 正常児群において, 年齢と歩行速度の間の相関関係がそれぞれ認められ, その他のパラメーターも含め crouching gait の特徴を定量化により示すことができた。
著者
中嶋 克行 坂上 真理 坂上 哲可 仙石 泰仁
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.266-276, 2019-06-15 (Released:2019-06-15)
参考文献数
23

本研究は,地域に住む要支援高齢男性が価値を置く作業の特徴を,当事者の視点から理解することを目的に,質的研究法を用いて調査した.北海道内の通所系サービスを利用する男性10名を対象に,1人60分程度の半構造化面接を実施した.分析はグラウンデッド・セオリー・アプローチを用いた.その結果,価値を置く作業は,【見える達成を実感できる作業】,【社会的に意味あることが確認できる作業】の2つの特徴が確認できた.さらに,作業に価値を見出す背景には,【作業選択を動機付ける自己資源】,【現状の生活に対する認識】があった.作業療法支援では,当事者による価値を置く作業の捉え方とその背後の状況の理解が,有効である可能性が示唆された.
著者
中島 そのみ 仙石 泰仁 中村 裕二 加藤 静恵 岸 玲子
出版者
日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.309-316, 2010-06-15

要旨:ベイリー乳幼児発達検査一第2版(以下,BSID-Ⅱ)は乳幼児期の発達状況を評価できる,国際的にも用いられることの多い検査の一つである.しかし,日本では標準化されておらず使用報告が少ない現状にある.本研究では,生後6ヵ月児192名にBSID-Ⅱを実施し,日本版デンバー式発達スクリーニング検査(以下,JDDST)から見たBSID-Ⅱの有用性を検討した.BSID-ⅡのMentalとMotorの平均得点は米国の標準値よりも約10低い値であった.また,BSID-ⅡのMental,MotorはともにJDDSTの関連領域との間で感度・特異度が高く有用性が認められた.しかし,本邦においてはBSID-ⅡのMotorは過剰に遅れと判定する可能性があった.