著者
中本 謙
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.1-14, 2011-10-01

琉球方言のハ行子音p音は,日本語の文献時代以前に遡る古い音であるとの見方がほぽ一般化されている。このp音についてΦ>pによって新たに生じた可能性があるということを現代琉球方言の資料を用いて明らかにする。基本的に五母音の三母音化という母音の体系的推移に伴って,摩擦音Φが北琉球方言ではp,p^?へと変化し,南琉球方言では,p,fへと変化して現在の姿が形成されたと考える。従来の研究に従い,五母音時代を起点にするのであれば,ハ行子音においても起点としてΦを設定しても問題はないと考える。そして,この体系的変化と連動してワ行子音においてもw>b,の変化が起こったとみる。また,ハ行転呼音化現象や語の移入時期という側面からもp音の新しさについて考察する。内的変化としてΦ>pが起こり得る傍証としてkw>Φ>pの変化傾向がみられる語も示した。
著者
中本 謙
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.1-14, 2011-10-01 (Released:2017-07-28)

琉球方言のハ行子音p音は,日本語の文献時代以前に遡る古い音であるとの見方がほぽ一般化されている。このp音についてΦ>pによって新たに生じた可能性があるということを現代琉球方言の資料を用いて明らかにする。基本的に五母音の三母音化という母音の体系的推移に伴って,摩擦音Φが北琉球方言ではp,p^?へと変化し,南琉球方言では,p,fへと変化して現在の姿が形成されたと考える。従来の研究に従い,五母音時代を起点にするのであれば,ハ行子音においても起点としてΦを設定しても問題はないと考える。そして,この体系的変化と連動してワ行子音においてもw>b,の変化が起こったとみる。また,ハ行転呼音化現象や語の移入時期という側面からもp音の新しさについて考察する。内的変化としてΦ>pが起こり得る傍証としてkw>Φ>pの変化傾向がみられる語も示した。
著者
西岡 敏 狩俣 繁久 又吉 里美 仲原 穣 仲間 恵子 中本 謙 下地 理則 下地 賀代子 野原 優一 小川 晋史 坂井 美日 青井 隼人 大森 一郎 當山 奈那 田代 竜也 當銘 千怜 平良 尚人 金城 絵里香
出版者
沖縄国際大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

琉球宮古方言は消滅危機言語に数えられ、他の琉球方言と同様、一刻も早い言語の正確な記録が求められている。本研究では、かつて調査された名詞語彙の言語地図作成を行い、宮古方言の地域的な特徴が視覚的に明らかになるようにした。また、これまで研究が手薄であった動詞の活用変化に焦点を当てた臨地調査を広範囲にわたる地点で行い、宮古方言の基本文例を数多く収集した。新たに収集したデータを言語地図化する作業は現在進行中である。