著者
永野 マドセン 泰子 狩俣 繁久
出版者
法政大学沖縄文化研究所
雑誌
琉球の方言 (ISSN:13494090)
巻号頁・発行日
no.34, pp.175-191, 2009

首里方言について、疑問文、構文構造、フォーカス、感情表現の4項目とイントネーションとの対応を調査した。4項目のうち、構文構造とフォーカスの実現が最も一貫してイントネーションと対応しており、その方法も東京方言に類似するものであった。また感情表現のイントネーションも比較的、東京方言に類似するものであった。反面、疑問文の末尾イントネーションでは揺れが大きく、東京方言のように必ずしも上昇を伴わなかった。
著者
狩俣繁久編
出版者
琉球大学
巻号頁・発行日
2015
著者
狩俣 繁久 田窪 行則 金田 章宏 木部 暢子 西岡 敏 下地賀代子 仲原 穣 又吉 里美 下地 理則 荻野 千砂子 元木 環
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

消滅の危機に瀕した琉球諸語の奄美語の七つの下位方言、沖縄語の十の下位方言、宮古語の四つの下位方言、八重山語の五つの下位方言、与那国語の計27の下位方言、および八丈語を加えた計28の方言についての文法記述を行った。記述に際しては、統一的な目次を作成して行った。琉球諸語についての知識のない研究者にも利用可能なものを目指して、グロスを付した記述を行った。最終年度までに研究成果として『琉球諸語 記述文法』Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの3冊を刊行した。
著者
かりまた しげひさ Karimata Shigehisa / 狩俣 繁久
出版者
琉球大学国際沖縄研究所
雑誌
国際琉球沖縄論集 = International review of Ryukyuan and Okinawan studies (ISSN:21867933)
巻号頁・発行日
no.5, pp.1-13, 2016-02

琉球列島全域の言語地理学的な調査の資料を使って、構造的比較言語地理学を基礎にしながら、音韻論、文法論、語彙論等の基礎研究と比較言語学、言語類型論、言語接触論等の応用研究を融合させて、言語系統樹の研究を行なえば、琉球列島に人々が渡来、定着した過程を総合的に解明できる。言語史研究の方法として方言系統地理学を確立することを提案する。This paper advocates the establishment of a field of "dialectal phylogenetic geography" as a method of historical linguistics. Linguistic phylogenetic research of Ryukyuan languages and dialects will clarify the historical processes of people's migration and settlement on the Ryukyu Islands more comprehensively. By fusing basic research such as phonology, grammar, and lexicology, with applied research, such as comparative linguistics, linguistic typology, and language contact, utilizing research materials from linguistic geography that is based on structural linguistic geography in the historical and comparative field, can we better understand these processes.
著者
西岡 敏 狩俣 繁久 又吉 里美 仲原 穣 仲間 恵子 中本 謙 下地 理則 下地 賀代子 野原 優一 小川 晋史 坂井 美日 青井 隼人 大森 一郎 當山 奈那 田代 竜也 當銘 千怜 平良 尚人 金城 絵里香
出版者
沖縄国際大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

琉球宮古方言は消滅危機言語に数えられ、他の琉球方言と同様、一刻も早い言語の正確な記録が求められている。本研究では、かつて調査された名詞語彙の言語地図作成を行い、宮古方言の地域的な特徴が視覚的に明らかになるようにした。また、これまで研究が手薄であった動詞の活用変化に焦点を当てた臨地調査を広範囲にわたる地点で行い、宮古方言の基本文例を数多く収集した。新たに収集したデータを言語地図化する作業は現在進行中である。
著者
高良 倉吉 狩俣 繁久 赤嶺 政信 山里 純一 豊見山 和行 池田 栄史 真栄平 房昭
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

歴史学分野では戦後のアメリカ統治期の約5年間に与那国島を南の拠点とし、口之島を北の拠点とする密貿易・密航ルートが先島諸島・沖縄諸島・奄美諸島・トカラ列島そして九州にまたがって形成されていたことから、トカラ列島の問題を前近代史に限るのではなく、現代史にも位置づけ直す必要がある点が確認された。沖縄県立博物館所蔵の古図の分析を本格的に行ない、同図が15世紀中期に朝鮮で作成された琉球国之図に近似していること、原図作成者と見られる中世の九州海商がすでに九州・トカラ・奄美そして琉球に至るネットワークを形成し、彼らの活動舞台に関する詳細な情報を入手していたことなどが明らかとなった。この古図の分析結果は中世日本史の分野に対する十分な問題提起になりうると思う。トカラ列島中之島を対象とする民俗学的調査では過疎化や住民の交替などにより古層を伝える伝承者がすでに存在せず、むしろ能動的な民俗変容こそ問題とすべき段階にあることが葬墓制の事例研究などから明らかとなった。言語学的にみてトカラ方言が九州方言と琉球方言をつなぐ重要な位置にあり琉球方言形成史解明のための手がかりを与える方言であることが確認された。研究の最終作業として行なわれた2度にわたるワークショップでは、トカラ列島の位置づけをめぐって薩摩・九州からの視点と奄美・沖縄からの視点だけでなく、中国をふくめた環東シナ海における位置づけが重要であるなどの論点と今後の主要な課題が確認できた。
著者
玉城 政美 赤嶺 政信 高橋 俊三 狩俣 繁久 大胡 太郎 久万田 晋
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究では、宮古諸島で伝承されている儀礼歌謡を良質な映像と音声で記録し、恒久的に保存することを第一の目的として、来間島、池間島、伊良部島、多良間島などで実践した。記録方式としてデジタルビデオ、デジタル録音テープなどの機器を使用した。次に、活字化された歌謡資料や現地で収集した映像・音声資料から歌詞を翻字し「歌詞データベース」を作成した。あわせて、既存の文献に収録されている歌詞を翻字して「歌詞データベース」に加えた。デジタルテキスト化したことで今後の研究に大いに貢献するであろう。次に、「宮古歌謡語辞典」の基盤を整備した。この辞典は「見出し語」「漢字」「語釈」「用例」などが主要な項目を構成する。宮古歌謡語は、方言と同様に各地域で著しく差がある。そのため発音通りの見出し語では、同じ語を同じ項目にまとめることが不可能となる。見出し語を琉球祖語で表記することによってこの問題は解決できる。こうすることで既刊の『沖縄古語大辞典』と比較検討することが可能となった。つまり、他の諸島の歌謡語と同じ次元で比較検討することが可能となったので、研究の飛躍的な進歩が期待できるようになった。だが、祖語に復元できない未詳語が数多く存在する。宮古歌謡語の研究はこの辞典が土台になるのであるから、やむを得ない面もある。研究の出発点を提示して今後多くの研究者のアクセスをまつことにしたい。なお「語釈」においては『宮古島の歌』に記録された注釈が大いに参考になった。次に、明治期に記録された田島利三郎の『宮古島の歌』を翻刻した。この文献は、原本であり、かつ、宮古歌謡研究の嚆矢というべきものであるにもかかわらず、これまで無視されてきた。従来は、原本ではなく、これの写本が尊重されてきたが、文献学的には非常識な扱いであった。今度の翻刻によって、今後はこの原本が活用されるであろう。
著者
高江洲 頼子 狩俣 繁久
出版者
沖縄大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

この研究は、琉球語諸方言のなかから個別の方言を選び、それぞれ担当者が文法について調査・研究することを目的とした。調査地点はこの研究期間をとおして、文法調査が可能な方言話者の存在、これまで文法の記述がされていない方言という条件等から最終的に、沖縄県渡名喜島方言、沖縄県宮古市城辺字保良方言、鹿児島県大島郡大和村方言、鹿児島県徳之島伊仙町方言、沖縄県今帰仁村謝名方言、名護市幸喜方言にしぼりこまれた。実際の調査においては、方言話者の減少、方言の使用場面の減少、方言の急速な変化が、難しい丈法の記述をさらに困難にした。被調査者の理解と協力によって、体系的な形態論の記述をすることができ、研究報告としてまとめることができた。調査の内容は、動詞、形容詞について活用の全体のシステム、各文法形式の作り方、文法的な意味・用法を、用例とともに記述することである。とくに形態論的なカテゴリーの中核をになう動詞を中心に調査・研究をすすめた。研究のおくれている文法の分野において、消滅の危機に瀕している方言のうち、6地点について文法の体系的な記述をすることができた。形容詞については、今回はまとまった調査資料の収集が可能な方言について、報告することとした。琉球語の研究は、今後、ますます調査が困難になり、資料が得られなくなると予想される。この研究では、用例をできるだけ収集し、今後の研究にも提供するものでありたいと考えた。また、当初、収集した資料のデータベース化と公開について考えていたが、これについては今後の課題としたい。
著者
狩俣 繁久
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

本研究は、東京大学名誉教授柴田武が1970年から1975年までの6年間に宮古島平良市で調査して得られた宮古平良方言資料に記載された方言語彙(「柴田ノート」)をパソコンに入力して整理し、録音した。(1) 総語数1万1千のうち、重複を整理し、6千5百に確定した単語について、宮古平良市で、柴田武東大名誉教授が調査した立津元康さんと同じ平良市下里出身の話者の方言を録音した。病気等で録音ができなくなった話者にかわって、新たに話者を選定し直した。下地明増(大正7年生)、下地文(大正12年生)のお二方で、ともに下里生まれで下里育ちで、現在も下里に在住の方である。(2) 録音場所は前年度にひきつづき平良市中央公民館和室を利用した。録音は、蝉の声などの雑音がなく、遮音のために部屋を閉め切っても暑くない冬を選んだ。録音は若干の補足調査をのこしてほぼ終了した。(3) その方言語彙を録音資料の音質、および保存性にすぐれているDAT(デジタルオーディオテープ)とMD(ミニディスク)を使用して録音した。MDは補助的な録音である。(4) 「柴田ノート」から25年経っていて、現在の話者が知らないと答える語も少なくなかったし、発音の変化した単語も若干みられたが、全体に影響をあたえるほどのものではなかった。(5) 録音された音声をもとに平良方言の音声の詳細な分析をおこない、類似の音韻体系をもった、おなじ宮古諸方言の下位方言の調査もおこなった。
著者
狩俣 繁久 金田 章宏 仲原 穣 仲間 恵子
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

石垣島石垣方言、宮良方言、西表祖納方言、多良間島方言、宮古島平良方言の格の記述と、とりたて助詞の中で最も注目され、係り結びの機能を持つと言われてきたduを記述した。同時に石垣方言、平良方言、今帰仁方言、首里方言の係助辞の比較研究を行ない、duに焦点化の機能は存するが、係り結びの機能を持たないことを指摘した。八重山方言の中でも特に研究の遅れていた西表方言の文法記述を行い、全体の概要を把握した。石垣方言の自動詞と他動詞の派生関係のタイプを記述し、ヴォイスと深い関係があることを記述した。
著者
狩俣 繁久 BAKSHEEV Evgeny Sergeevich BAKSHEEV Evgeny Sergeevic
出版者
琉球大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

N.ネフスキーが80年前に宮古島を訪問して得た資料に基づき現代との変容の有無などを現地で確認、検証した。琉球文化圏における村落祭祀を行なう御嶽(聖地)を中心に宮古、八重山、沖縄、奄美の民間信仰・民俗文化の比較研究・調査を行なった。聖地およびその祭祀の記録として映像資料を作成した。そのために、宮古、八重山、奄美、沖縄の各地で国内調査研究旅行をした。宮古サニツ(久松)、ナーパイ(砂川)、桟橋ニガイ(佐良浜)、ダツマス(伊良部)、スツウプナカ(高野)、旧八月十五夜(狩俣)、世乞(伊良部)、豊年祭(友利)、ヤーマスプナカ(来間)、正月行事(平良)、御葬式・三日目供養・開眼行事・四九日目供養(友利)、聖地・その年中行事並びにミャーカ墓などの墓制調査(平良、久松、狩股、来間、池間、下地、伊良部、上野、城辺)。沖縄島旧正月(糸満)、遺跡・聖地・門中墓などの墓制(糸満、浦添、西原)。八重山旧盆・アンガマ(西表祖納・星立)、十六日祭・洗骨(与那国)、聖地・墓制(祖納・星立;与那国)。奄美ショチョガマ・新節(龍郷町秋名)、柴差し(喜界島、宇検村阿室);ノロ祭り(宇検村阿室);聖地・ノロの祭祀・墓制(名瀬、龍郷、笠利、宇検;喜界;加計呂麻)。ネフスキー資料の調査採取・記録の状況を現地宮古島各地で調べた。宮古・沖縄にかんするネフスキーの論文ならびにネフスキーについての資料のカタログ・データベース作り始まった。ネフスキーの未発表の論文・資料の翻訳および公開のための準備を行っている。日本人言語学者との共同作業の結果で「宮古方言ノート」の大部分を解読して、日本語の翻訳をした。「N・ネフスキー『宮古方言ノート』の民俗学的考察」等の解説をまとめている。これから「宮古方言ノート」をもとに「宮古方言辞典」が完成されて、発行する予定である。
著者
工藤 眞由美 金田 章宏 狩俣 繁久 木部 暢子 佐藤 里美 山東 功 林 明子 吉村 裕美 吉村 裕美 三ツ井 崇
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、国際的にも大いに多様化の進んでいる日本語のバリエーションの問題について、言語類型論(Language Typology)、言語接触論(Contact linguistics)の立場から包括的に考察を試みた。具体的には、格やとりたて構造に関する言語項目調査について、諸方言に適用できる「統一した調査票」の改善についての検討を行った。また、ボリビア共和国サンタクルス県オキナワ移住地を対象とする言語的日常実践を描くエスノグラフィー的研究や、ドイツをフィールドワークとする、言語接触論的観点からの在外駐在日本人の言語生活調査を実施した。
著者
狩俣 繁久
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

3年間で白保方言の臨地調査と波照間方言・白保方言の比較研究を行った。日本語の影響は、予想以上に大きく、回答を得られない単語が近接する方言間の言語年代学的な数値を出すには無視できない数であった。そこで、さまざまな音環境にあらわれる母音、子音がどのように音韻変化したかを詳細に比較した。両方言で類似するものの多くは、分岐する以前の祖方言の形式を保存するだけでなく、変化の要因などを共通に有したまま分岐し、別々に平行的に変化したものがあることがわかった。波照間、白保方言に特徴的にみられる語末のN音挿入も分岐した後に平行的に変化したものである。母音の音位転換と子音の音位転換があることを指摘したが、音位転換は分岐後の収斂変化であることがわかった。形容詞の代表形を収集し、波照間方言と白保方言を比較した。その結果、波照間白保祖方言の形容詞語尾は-haNであったが、両方言ともに、周辺方言、とくに石垣島中心市街地方言の影響で一部の形容詞の語尾に-saNと-sahaNを有する語があることがわかった。saN形容詞は借用語形であり、sahaN形容詞は、saN形容詞のsa連用形をhaN形容詞の語幹として取り込んだものである。語尾にsahaNをもつ形容詞の発生は両方言で平行的に変化したものである。形容詞語尾の違いが八重山方言、宮古方言の下位区分の重要な指標になりうることもわかった。文法現象は、名詞の語彙に比べて借用されにくく影響も小さい。文法現象が体系的であることを反映して、借用された形容詞語彙は、その判別が名詞に比べて容易であることもわかった。