著者
下地 賀代子
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.76-91, 2006-10

多良間島方言のsi: ukiという形式は,〈動作・変化の完了とその変化の結果の継続〉,〈動きの完了とその痕跡〉,〈経歴・記録〉というパーフェクト的な意味を表すための形式である。継続相のsi: buLもパーフェクト的な意味を表すことができるのだが,〈パーフェクト〉のsi: buLには,上の3つのパーフェクト的な意味の他,〈動作の開始とその過程の継続〉の意味を表す用法も見られた。これは,両者の「中核的な時間的意味」が異なっていることの現れである。そして,si: buLが,パーフェクト的な意味を実現している場合においても〈継続性〉という中核的な時間的意味が取り出されるのに対し,si: ukiは,その形式が表わす文法的意味は常に基準時点以前のデキゴトの完了の段階を捉えるものであることから,その中核的な時間的意味として〈完了・以前性〉が取り出されることを示した。
著者
狩俣 繁久 田窪 行則 金田 章宏 木部 暢子 西岡 敏 下地賀代子 仲原 穣 又吉 里美 下地 理則 荻野 千砂子 元木 環
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

消滅の危機に瀕した琉球諸語の奄美語の七つの下位方言、沖縄語の十の下位方言、宮古語の四つの下位方言、八重山語の五つの下位方言、与那国語の計27の下位方言、および八丈語を加えた計28の方言についての文法記述を行った。記述に際しては、統一的な目次を作成して行った。琉球諸語についての知識のない研究者にも利用可能なものを目指して、グロスを付した記述を行った。最終年度までに研究成果として『琉球諸語 記述文法』Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの3冊を刊行した。
著者
西岡 敏 狩俣 繁久 又吉 里美 仲原 穣 仲間 恵子 中本 謙 下地 理則 下地 賀代子 野原 優一 小川 晋史 坂井 美日 青井 隼人 大森 一郎 當山 奈那 田代 竜也 當銘 千怜 平良 尚人 金城 絵里香
出版者
沖縄国際大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

琉球宮古方言は消滅危機言語に数えられ、他の琉球方言と同様、一刻も早い言語の正確な記録が求められている。本研究では、かつて調査された名詞語彙の言語地図作成を行い、宮古方言の地域的な特徴が視覚的に明らかになるようにした。また、これまで研究が手薄であった動詞の活用変化に焦点を当てた臨地調査を広範囲にわたる地点で行い、宮古方言の基本文例を数多く収集した。新たに収集したデータを言語地図化する作業は現在進行中である。