著者
西岡 敏
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.55-68, 2011-10-01

竹富方言の敬語は、他の八重山語諸方言と同様、話題の人物(第三者あるいは聞き手)を立てる素材敬語が敬語動詞ないしは敬語補助動詞によって表され、聞き手に対して丁寧さを示す対者敬語が終助詞(文末詞)によって表される。本稿では、前者のうち、尊敬の補助動詞「トールン」(to:runN、くださる)、謙譲の補助動詞「オイスン」(oisuN、差し上げる)・「ッシャリルン」(Q∫eriruN、申し上げる)に焦点を当て、どのような文脈において使用可となるか、どのような意味の漂白化(すなわち、文法化)の過程にあるかについて論じた。補助動詞「トールン」は恩恵の意味が逓減、補助動詞「ッシャリルン」は発言の意味が残存している。また、後者の対者敬語的終助詞のうち、「ユー」(ju:)と「ナーラ」(na:ra)の使い分けについて示した。いずれも聞き手への丁寧さを示すが、「ユー」は話し手が聞き手との距離を置く表現であり、「ナーラ」は話し手が聞き手と共通の基盤に立っていることを積極的に示す表現である。
著者
西岡 敏
出版者
一橋大学
雑誌
一橋論叢 (ISSN:00182818)
巻号頁・発行日
vol.124, no.4, pp.516-531, 2000-10-01

論文タイプ||論説
著者
西岡 敏郎
出版者
東京都立大学都市研究センター
雑誌
総合都市研究 (ISSN:03863506)
巻号頁・発行日
no.71, pp.53-72, 2000-03

戦後日本社会の構造を規定したと考えられるいくつかの要素に、「農地改革」、「高度成長」、「都市化」という現象がある。これらのキーワードを結ぶ視点として、「宅地行政」をとりあげ、とくに高度成長期に、どのような宅地行政が行われたのかを考察することが本稿の課題である。ここで「宅地行政」は、この時期に建設省が所管していた土地行政、特に住宅地に関する行政を主たる対象として論じる。戦後の宅地行政において、戦災復興期における住宅難への緊急的な対応が一段落したあと、1955 (昭和30) 年頃から始まった高度成長期における主要な課題は、第一に、住宅用地・工業用地の需要と供給の不均衡から生じる問題、第二に、道路、鉄道、港湾などのインフラ設備に必要な公共用地の取得に関する問題に集約されるだろう。1960 (昭和35) 年、建設省による「宅地総合対策」は、これらの課題に取り組む方針を示した。そして、この方針は、建設省が設置した宅地関連の審議会の議論を経て、数々の答申となり、多くが法制化された。しかし、これらの対策の実現にもかかわらず、1965(昭和40) 年をピークに最初の地価高騰が起こる。佐藤内閣は、「社会資本開発」の推進を標携し、土地問題が政策課題の舞台に上る。建設省を軸に、政府レベルの協議会が開催され(1965年第1団地価対策閣僚協議会)、宅地供給の増加を中心とした政策から、土地利用規制、税制、金融政策との連携が模索されることになる。こうした政策の模索と遂行にもかかわらず、オイル・ショック前後には再び地価が高騰した。高度成長期に、あるいはさらに遡って戦争直後に、都市計画を中心とする宅地政策を確立させておくべきだったという見方があり、それ自体は正しいだろう。しかし、なぜそうしたあるべき政策が実行されず、他の政策が採られたのかという問いに答えることは、容易ではない。実効性のある宅地政策の実現可能な程度は、土地という財がその社会においてどのような意味を持っているのかに依存する。急激な都市化と高度成長により大きく変貌しつつあった戦後日本において、歴史的に政治資源と切り離された「土地」という財に対する政策を確立するために、十分な経験や「専門」能力がどの程度蓄積されていたのか。戦後の宅地行政を振り返る背景には、このような問題関心がある。There are several key factors such as Agricultural Land Revolution, Economic High-growth and Urbanization that form a basic structure of after-war Japan. Land policy is a key word to consider of those factors. The purpose of this paper is to review the land policy provided by the Ministry of Construction during the high-growth period in Japan. In the period two main subjects to be tackled in the land policy are identified. First, strong demand and weak supply of residential and industrial land brought a lot of problems. Second, there were difficulties on acquirement of public land for infrastructure such as highway-road and railway. In 1960, the Ministry published a General Land Policy, or Takuchi Sogo Taisaku. Based on this Policy, the Ministry asked the Land Policy Committee to discuss several specific topics related to the policy. As a result, lots of Acts were legislated to solve land problems. Between 1964 and 1965, however,land price in Japan rose up dramatically. Prime Minister Eisaku Sato and his cabinet raised a concept of Social Asset Development, Shakai Shihon Kaihatsu, by which they put land problems into political arena. They held a Cabinet Council on Policy on Land Price in 1965. The importance of policy mixture of land use control , land tax and finance policy was focused since then, while the growth of land supply was the core of land policies. Again, in spite of these efforts, land price grew up violently around 1970 to make people believe land price myth. Some criticised the policies by saying that they should have established a land policy of which priority is on land use control in the 1960's or even before. This is correct in a sense, but is it not easy to answer the question; Why did they choose those and not others? To how much degree the land policy is effective depends on the significance of land asset in each country. In Japan, where land had not been identified as political-power resources,it would be reasonable to think that experience and professional knowledge of effective land policy should be limited.
著者
狩俣 繁久 田窪 行則 金田 章宏 木部 暢子 西岡 敏 下地賀代子 仲原 穣 又吉 里美 下地 理則 荻野 千砂子 元木 環
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

消滅の危機に瀕した琉球諸語の奄美語の七つの下位方言、沖縄語の十の下位方言、宮古語の四つの下位方言、八重山語の五つの下位方言、与那国語の計27の下位方言、および八丈語を加えた計28の方言についての文法記述を行った。記述に際しては、統一的な目次を作成して行った。琉球諸語についての知識のない研究者にも利用可能なものを目指して、グロスを付した記述を行った。最終年度までに研究成果として『琉球諸語 記述文法』Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの3冊を刊行した。
著者
西岡 敏 狩俣 繁久 又吉 里美 仲原 穣 仲間 恵子 中本 謙 下地 理則 下地 賀代子 野原 優一 小川 晋史 坂井 美日 青井 隼人 大森 一郎 當山 奈那 田代 竜也 當銘 千怜 平良 尚人 金城 絵里香
出版者
沖縄国際大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

琉球宮古方言は消滅危機言語に数えられ、他の琉球方言と同様、一刻も早い言語の正確な記録が求められている。本研究では、かつて調査された名詞語彙の言語地図作成を行い、宮古方言の地域的な特徴が視覚的に明らかになるようにした。また、これまで研究が手薄であった動詞の活用変化に焦点を当てた臨地調査を広範囲にわたる地点で行い、宮古方言の基本文例を数多く収集した。新たに収集したデータを言語地図化する作業は現在進行中である。
著者
狩俣 恵一 西岡 敏 小嶋 賀代子 真下 厚 又吉 光邦 照屋 誠 田場 裕規 浦本 寛史 原田 信之 又吉 光邦
出版者
沖縄国際大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-10-31

昔話・伝説・歌謡・芸能は、言葉による伝達の他に、音声・表情・ゼスチャーなどが伴う。特に、口頭伝承が豊かな沖縄の伝統文化は、身体表現による伝達の割合が大きい。しかし、伝承の〈時〉と〈場〉の変化とともに、伝統的な〈様式〉と〈精神性〉は変容してきた。なかでも、古典音楽の琉歌や古典芸能は、近代演劇の影響を受けて、〈声〉〈音〉〈身体〉は大きく変容した。したがって、琉歌・組踊・古典舞踊の琉球王朝文化については、琉球士族の言葉と身体様式、その精神性に焦点をあてて研究を進めた。