著者
田中 秀臣 中村 宗悦
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究
巻号頁・発行日
vol.21, pp.171-186, 2000-03-30

本論文の目的は、戦時下の生活雑誌――月刊『時局月報』『国防国民』の意義を検討することにある。戦時下の日本では「生活雑誌」という言葉は、家事のための雑誌ではなく、政治経済雑誌を意味していた。『時局月報』とそれが名称変更した『国防国民』の両雑誌は、長谷川国雄(一九〇一―八〇)が編集し発行したものである。長谷川は、一九二九年から三六年にかけて、経済雑誌『サラリーマン』を発行していた。『サラリーマン』の独自性は、新中間階級の読者に対する経済知識の啓蒙にあった。『サラリーマン』は、官憲による不法な弾圧によって休刊を余儀なくされてしまった。しかし、『時局月報』と『国防国民』は、『サラリーマン』の直接の後継誌として、同じ編集方針を継承するものであった。さらに、両誌は、統制経済の観点から、人的資源と物的資源の再配置と改善を提唱するものだった。
著者
中村 宗悦
出版者
慶應義塾福沢研究センター
雑誌
近代日本研究 (ISSN:09114181)
巻号頁・発行日
no.29, pp.125-164, 2012

特集 : 大正期再考はじめに一 『ダイヤモンド』創刊前後二 第一次世界大戦景気による躍進三 米価の騰貴と政府の米価対策批判四 財界の転換とバブル景気五 一九二〇年不況以降の状況おわりに : 戦前への復帰か、新しい体制への転換か