著者
中村 玲子 越川 房子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.129-142, 2014 (Released:2015-03-27)
参考文献数
36
被引用文献数
5 3

いじめはその深刻さが指摘されており, 学校現場での対応が求められている問題である。いじめの減少困難や助長の要因として傍観者が挙げられており, 傍観者層の多寡は, 被害者の多寡と最も強い有意な相関を示すことが見出されている(森田, 1990)。本研究では中学生を対象としたいじめの抑止を目的とする心理教育的プログラムを開発し, その効果の検討を行った。プログラムは, いかなるいじめも容認されないとする心理教育と, いじめへの介入スキルの学習から構成された。プログラムの所要時間は授業1回分であり, 対象校生徒の実情に合った内容を用いての, ソーシャル・スキルス・トレーニングの技法に基づくロール・プレイングを含むものであった。事前・事後分析の結果, 本研究で開発されたいじめ抑止プログラムは, いじめ停止行動に対する自己効力感といじめ否定規範の向上, いじめ加害傾向の減少に一定の効果をもつことが示された。また, いじめの抑止のためには, いじめ否定規範の高い生徒にはいじめに介入するためのスキルの学習が, いじめ否定規範の低い生徒にはスキルの学習と同時にいじめ否定規範を高める指導・支援を行うことが有効である可能性が示された。
著者
中村 玲子 越川 房子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.129-142, 2014
被引用文献数
3

いじめはその深刻さが指摘されており, 学校現場での対応が求められている問題である。いじめの減少困難や助長の要因として傍観者が挙げられており, 傍観者層の多寡は, 被害者の多寡と最も強い有意な相関を示すことが見出されている(森田, 1990)。本研究では中学生を対象としたいじめの抑止を目的とする心理教育的プログラムを開発し, その効果の検討を行った。プログラムは, いかなるいじめも容認されないとする心理教育と, いじめへの介入スキルの学習から構成された。プログラムの所要時間は授業1回分であり, 対象校生徒の実情に合った内容を用いての, ソーシャル・スキルス・トレーニングの技法に基づくロール・プレイングを含むものであった。事前・事後分析の結果, 本研究で開発されたいじめ抑止プログラムは, いじめ停止行動に対する自己効力感といじめ否定規範の向上, いじめ加害傾向の減少に一定の効果をもつことが示された。また, いじめの抑止のためには, いじめ否定規範の高い生徒にはいじめに介入するためのスキルの学習が, いじめ否定規範の低い生徒にはスキルの学習と同時にいじめ否定規範を高める指導・支援を行うことが有効である可能性が示された。
著者
尾臺 珠美 市川 麻以子 宮坂 尚幸 高木 香織 西田 慈子 塗師 由紀子 中村 玲子 服部 早苗 遠藤 誠一 坂本 雅恵 島袋 剛二
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.215-221, 2016-07-31 (Released:2016-09-24)
参考文献数
9

2009年から2014年の6年間に当院で妊娠22週以降に分娩した6,236件のうち,死産であった35症例(0.56%)を対象とし,周産期背景と子宮内胎児死亡(IUFD ; intra uterine fetal death)の原因について後方視的に検討した。35例の年齢中央値は34歳で,高年妊娠は17例(48.6%),初産婦18例,経産婦17例,高年初産は7例(20%),不妊治療後は5例(14.3%)であった。IUFD診断時の妊娠週数の中央値は30週で,飛び込み受診のため週数不明例が4例あった。6,236件のうち高年分娩は1,790例で,35歳未満のIUFDの割合0.40%に比し,0.95%と有意に高かった(p<0.05)。また,全飛び込み分娩例は109例あり,IUFDの割合は3.7%と有意に高かった(p<0.05)。受診契機はIUFDのため他院からの紹介6例,母体搬送3例,救急搬送5例,自己来院15例,入院中6例であった。IUFDの原因は臍帯因子10例,胎盤因子9例,胎児因子4例,外傷1例,原因不明11例であった。飛び込み受診例・高年妊娠でのIUFDの割合は高く,妊婦健診受診への啓発活動とより慎重な妊娠管理が求められる。約30%は原因不明であり,死因究明に対して積極的な姿勢が望ましい。
著者
小林 真弓 小貫 琢哉 稲垣 雅春 西田 慈子 高木 香織 佐川 義英 中村 玲子 尾臺 珠美 藤岡 陽子 市川 麻以子 遠藤 誠一 坂本 雅恵 島袋 剛二
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.56-60, 2015 (Released:2015-07-10)
参考文献数
19
被引用文献数
2

〔緒言〕月経随伴性気胸 (Catamenial Pneumothorax, 以下CP) は胸腔内子宮内膜症の一種であり, 詳細な病態や標準治療は明らかではない。診療科をまたぐ疾患であり, 呼吸器科医と婦人科医の連携が必要となる。今回, 当院で経験したCP症例の臨床経過を検討した。 〔方法〕1989年1月から2014年8月の間に当院で気胸に対して胸腔鏡下肺手術が施行された症例のうち, 病理学的に肺・胸膜・横隔膜のいずれかに子宮内膜症を認めた8例を対象とし, 臨床像,治療を後方視的に検討した。 〔結果〕発症年齢中央値は37歳。8例中7例 (87.5%) が右側発症であった。骨盤内子宮内膜症の検査をした例が6例, うち5例が骨盤内子宮内膜症を有していた。手術後からの観察期間中央値は33.5か月。8例中6例が術後気胸再発, うち2例はジエノゲスト内服後の再発であった。いずれの症例もジエノゲスト内服またはGnRHa・ジエノゲストSequential療法で再発を防ぐことができた。 〔結語〕気胸は緊急で脱気等の処置が必要であり再発防止には治療薬服用の高いコンプライアンスが求められる。GnRHa投与症例では術後再発を認めておらず, 術後薬物療法としてGnRHaまたはGnRHa・ジエノゲストSequential療法が望ましいと考える。ただし, ジエノゲストのみで再発しない症例もあり, 治療法の選択に関してさらなる症例の集積が必要である。
著者
中村 玲子
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.60, no.10, pp.523-529, 1985-10-15 (Released:2011-05-24)
参考文献数
16

Tuberculin skin reaction is one of phenotypes of the immune responses to mycobacteria, which is mediated by the sensitized T cells and expressed as a delayed-type hyperse nsitivity. In mycobacteria-infected mice, this response is recognized as a footpad reaction specific to PPD. There are high and low responders in this reaction among various strains of mice. The difference in the responsiveness is controlled genetically. High respon siveness is dominant over low responsiveness. The results of linkage test using SWM/Ms, C3H/ He, and their hybrids, showed that this gene links to neither H-2, coat color, norIgh allotype.Strain differences in the resistance against virulent mycobacterial infection does not coincide with the natural resistance to BCG which is regulated by Ity-Bcg-Lsh gene on chromosome 1. Rather, the acquired immunity is related to delayed-hypersensitivity to BCG, although it is not mapped yet.Suppression of the immune response to BCG is observed in BCG-low-responder mice. The mechanism was found to be due to the induction of suppressor T cells which inhibit the induction of effector T cells. The surface antigens on macrophages and T cells are necessary to induce suppressor T cells. It seems that the suppressor T cell induction is regulated genetically. However, it is not clear what gene regulates the suppressor T cell induction and how it is related with the gene for delayed-type hypersensitivity.Genetic analysis of immunity to tuberculosis in human beings is difficult because the population is highly heterogeneous. Statistical analysis in a large scale would be a good way of the study. There is a report that HLA-Bw 15 might be related to tuberculosis, but accumulation of more information is necessary.
著者
島袋 剛二 宮坂 尚幸 市川 麻以子 遠藤 誠一 坂本 雅恵 尾臺 珠美 吉田 卓功 塚田 貴史 塗師 由紀子 西田 慈子 高木 香織 中村 玲子 服部 早苗
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.815-818, 2016

子宮脱に対して平易で有効な術式として, 腹腔鏡下円靭帯小腰筋腱固定術を考案したので術式の要点と短期成績について報告する。 術式: 骨盤リンパ節廓清時の要領で後腹膜を切開し大腰筋を展開する。この際に大腰筋前面を走行する細い帯状の小腰筋腱を明らかにしておく。円靭帯にまず針糸を1針かけておき, それで小腰筋腱をすくい縫合固定する。対側も同様の操作を行なう。この操作で子宮の牽引が不十分であれば第1針結紮の頭側にさらに第2針を追加固定する。固定後は後腹膜を縫合閉鎖する。 症例: 39歳 (完全子宮脱), 63歳 (子宮下垂), 43歳 (不全子宮脱) の3症例に本術式を施行した。3症例とも容易に手術を完逐でき, 術後10~24か月のフォローアップ検診で子宮脱の再発を認めていない。術後早期に1例で鼠径部痛, もう1例で大腿内側違和感の訴えがあったが軽快した。 今後, 症例数を蓄積してこの術式の有効性と安全性について検討していきたい。