著者
安永 美保 中村 祐美 小坂部 悟美
出版者
京都
雑誌
同志社女子大学大学院文学研究科紀要 = Papers in Language, Literature, and Culture of the Graduate School of Doshisha Women's College of Liberal Arts (ISSN:18849296)
巻号頁・発行日
no.13, pp.53-70, 2013-03

『河海抄』は貞観元年 (1362年) 頃に四辻善成によって作られた『源氏物語』の注釈書であり、源氏学初期の集大成で、以後の注釈の規範的位置を示すものである。『河海抄』執筆の基本的姿勢は『源氏物語』を歴史の中に置き、いかにその文章や構想が歴史的事実に依拠したものであるかを詳細に説明している。特に、本報告で扱った「料簡」はその性格が強く、「いづれの御時にか」で繙かれる『源氏物語』の虚構世界を「醍醐・朱雀・村上天皇」の三代の御代に設定し、主人公光源氏の解釈も実在の歴史上の人物に依ることで、新たな『源氏物語』の読みを展開している。こういった視点は原典をより深く読むための手掛かりとなる。 そこで、本稿では同志社女子大学図書館蔵本を底本として、演習に参加した大学院生を中心に『河海抄』の翻刻と注釈を行った。今回の報告ではその中の「序」と「料簡」を掲載する。
著者
北野 泰奈 中村 祐美子 卾 爽 畠山 雄有 山本 和史 坂本 有宇 都築 毅 仲川 清隆 宮澤 陽夫
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.182-190, 2015-04-10 (Released:2015-05-31)
参考文献数
53

我々は最近,1975年頃の日本食は現代の日本食に比べて健康有益性が高いことを示した.1975年日本食の特徴のひとつに肉類の摂取量が低いことがあげられる.そのため,肉類を他の食品と置換することで,健康有益性の増加が期待できた.そこで本研究では,現代の日本において広く食べられている「ソーセージ」を伝統的な日本の食品である「かまぼこ」に置換することによる効果を,ラットを用いて検討した.凍結乾燥·粉末化した「ソーセージ」または「かまぼこ」を通常飼育食に重量当たり20%混合し,SD系ラットに4週間与えた.その結果,「ソーセージ」群に比べて「かまぼこ」群において,血漿と肝臓における脂質量と過酸化脂質量が低下した.次に,「かまぼこ」のタンパク質·脂質·炭水化物のエネルギーバランスと塩分を精製飼料のみを用いて再現した「mimicかまぼこ」を作製した.これを通常飼育食に混合し,ラットに4週間与えた.その結果,「mimicかまぼこ」群に比べて「かまぼこ」群で脂質量と過酸化脂質量が低下した.以上より,「ソーセージ」を「かまぼこ」で置換することは脂質量と過酸化脂質量を低減するために健康有益性が増加することが示され,この効果は「かまぼこ」のエネルギーバランスのみに依存しないことが示唆された.
著者
都築 毅 武鹿 直樹 中村 祐美子 仲川 清隆 五十嵐 美樹 宮澤 陽夫
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.255-264, 2008 (Released:2009-01-30)
参考文献数
41
被引用文献数
24 28

日本人の食事は世界から健康食として注目されている。しかし,日本人の食事をニュートリゲノミクス手法を用いて遺伝子発現レベルで,欧米の食事と比較し評価した研究はない。そこで本研究は,「日本食」と「米国食」を飼料としてラットへの給与試験を実施し,DNAマイクロアレイを用いて両食事の肝臓遺伝子発現レベルの相違を網羅的に検討した。日本食(1999年)と米国食(1996年)の献立を作成し,調理し,凍結乾燥粉末に調製したものを試験試料とした。ラットに3週間これを摂取させ,肝臓から総RNAを抽出し,DNAマイクロアレイ分析を行った。その結果,日本食ラットは米国食ラットと比べてストレス応答遺伝子の発現量が少なく,糖・脂質代謝系の遺伝子発現量が多かった。とくに,日本食では摂取脂質量が少ないにもかかわらずコレステロール異化や排泄に関する遺伝子の発現量が顕著に増加していて,肝臓へのコレステロール蓄積が抑制された。よって日本食は米国食と比べて,代謝が活発でストレス性が低いことから,日本食の健康有益性が推察された。