著者
垰田 和史 中村 賢治 北原 照代 西山 勝夫
出版者
公益社団法人日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.246-253, 2005-11-20
被引用文献数
1 4

新医師臨床研修制度導入以前の研修医の労働や生活の実態を検討する目的で, 国立大学附属病院に所属する102名の研修医について, 連続した4週間の生活時間調査を行った.調査対象とした2,722人日のうち76%の有効回答をえた.平日の平均睡眠時間は5.7時間, 土曜・祝日の平均睡眠時間は6.8時間だった.研修医の40%は睡眠時間が6時間未満で5時間未満の者が17%おり, 外科に所属する研修医の睡眠時間は特に短かった.研修医の睡眠不足は健康を脅かすだけでなく医療の安全性を低下させることから, 新医師臨床研修制度のもとで, 研修医の睡眠時間を含む生活が適切に保たれるよう, 追跡検証する必要がある.
著者
結城 由恵 村瀬 明世 上田 真意子 香西 夏子 中村 賢治 廣田 憲威 山﨑 義光
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.1-9, 2017

<p>インスリンないし経口血糖降下剤治療あるいは併用治療中の日本人2型糖尿病患者34名に,GLP-1受容体作動薬リラグルチド0.9 mg/日投与し,投与前後のグルカゴン負荷試験を用いた内因性インスリン分泌能(<i>Δ</i>CPR)とCPI(空腹時Cペプチド分泌指標)を計測した.また24カ月までの血糖管理指標との関連性を検討した.HbA1cは3ヵ月後に有意に低下し,その後の変化は少なかった.導入前の<i>Δ</i>CPRと24カ月後のHbA1c変化量に負の相関を認めた.導入後12カ月のCPIは有意に改善し,<i>Δ</i>CPRは導入前に比し有意に低下を認めた.これらの結果から,日本人2型糖尿病患者に対するGLP-1受容体作動薬導入前のグルカゴン負荷を用いた内因性インスリン分泌能検索は,リラグルチド有効症例の事前判別に有効である可能性を示した.またリラグルチド投与により,空腹時内因性インスリン分泌の増加が示唆された.</p>
著者
中村 賢治 垰田 和史 北原 照代 辻村 裕次 西山 勝夫
出版者
公益社団法人日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.225-233, 2007-11-20
被引用文献数
2 2

我々は,健常な非喫煙女性20名を対象に,精神的ストレスが,僧帽筋内のHb動態に及ぼす影響について調べた.被験者に,1分間の立位での両上肢の側方水平位保持(身体的課題),またはStroop's Color Word Test(精神的課題),またはその両方を同時に与える課題を,5分間の休憩をはさんで行わせた.心拍数,および筋内ヘモグロビン(酸素化Hb:OxyHb,脱酸素化Hb:DeoHb,総Hb:TotHb)濃度と表面筋電図(いずれも右僧帽筋で測定)を測定した.各課題によるHb濃度の安静時からの変動量(ΔOxyHb,ΔDeoHb,ΔTotHb)を算出し,身体的負荷時と身体的および精神的負荷時を比較した.身体および精神的負荷時のΔDeoHbは身体的負荷単独時より有意に小さく(p=0.013),ΔOxyHb,ΔTotHbには有意な差は認められなかった(p=0.281,p=0.230).本実験の結果は,精神的ストレスが僧帽筋内のΔDeoHbに影響を及ぼしたことを示唆しており,可能性のある機序の一つとして,精神的ストレスによる僧帽筋の酸素消費量の減少が考えられた.今後,長時間の負荷による影響について検討する必要がある.