- 著者
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中永 士師明
- 出版者
- 特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
- 雑誌
- 日本急性血液浄化学会雑誌 (ISSN:21851085)
- 巻号頁・発行日
- vol.4, no.1, pp.9-16, 2013-06-01 (Released:2022-09-16)
- 参考文献数
- 40
持続的腎機能代替療法(CRRT)施行症例の多くは敗血症や多臓器不全を合併しており,救命のためには栄養管理を含めた集学的治療が必要となる。また,CRRT施行中は抗凝固薬を使用することになるため,出血傾向を助長させることなく,また,過凝固にもならないような抗凝固能管理も必要となる。CRRT施行患者に対する栄養管理におけるエビデンスはほとんどなく,急性腎傷害(AKI)や敗血症に準じた栄養管理が推奨される。AKI患者では早期からの栄養管理が腎機能や予後の改善に繋がる。CRRTの利点は除水による輸液スペースの確保により,十分量の薬剤,栄養,血液製剤の投与が可能になる。欠点は薬剤やビタミンなどの栄養素が一部除去されてしまうため,投与量を調整する必要が生じることである。CRRT施行中の栄養管理としては,①underfeedingの許容,②早期から栄養管理を考慮し,カロリー摂取,蛋白摂取を正しく行う,③少量でも可能な限り経腸栄養を行う,の3点が重要となる。