著者
犬飼 岳史 合井 久美子 根本 篤 高橋 和也 赤羽 弘資 廣瀬 衣子 杉田 完爾 中澤 眞平
出版者
特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液学会雑誌 (ISSN:09138706)
巻号頁・発行日
vol.18, no.5, pp.548-553, 2004-10-31 (Released:2011-03-09)
参考文献数
16

帯状疱疹から無菌性髄膜炎に進展した同種骨髄移植後の骨髄異形成症候群児と, 帯状疱疹の発症から隔離までに3日間を要した化学療法中のWilms腫瘍児から, 既感染やワクチン接種例2名を含む免疫抑制状態にある4名に水痘の院内感染を経験した.院内感染予防として40mg/kg/dayのアシクロビル (ACV) 予防内服を, 免疫抑制状態にない未罹患の6名に接触7日目から7日間行ったが, 1名が水痘を発症した.一方, 免疫抑制状態にある21名 (うち未罹患7名) と免疫抑制状態にない未罹患9名ののべ30名に接触直後から21日間のACV予防内服を行ったところ, 水痘の発症は認められず, ACVによる副作用も認められなかったことから, ACV長期投与は安全で有効な院内感染予防法であることが示唆される.帯状疱疹に対する曝露では, 患者隔離のみならず, 免疫抑制状態にあるワクチン接種・既感染症例に対してもACV内服による積極的な予防対策を行う必要がある.
著者
山城 大 相原 正男 小野 智佳子 金村 英秋 青柳 閣郎 後藤 裕介 岩垂 喜貴 中澤 眞平
出版者
The Japanese Society of Child Neurology
雑誌
脳と発達 (ISSN:18847668)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.372-377, 2004

交感神経皮膚反応 (sympathetic skin response; SSR) は情動表出反応として出現することが報告されている.情動機能を評価する画像をオリジナルに作製し, これらを視覚刺激として呈示した際に出現するSSRについて健常小児と健常成人で比較検討した.小児では成人に比し高いSSR出現率を認めた.さらに, 不快な画像におけるSSR出現率は, 成人では生理的に不快な画像に比し暴力行為などの非社会的画像で有意に高かったが, 小児においては両者に明らかな差異を認めなかった.このことから, 小児期から成人にいたる情動的評価・意義の相違と変化は, 情動発達に伴う推移を示すものと思われる.情動の客観的評価に視覚刺激によるSSRが有用であると考えられる.
著者
金村 英秋 相原 正男 中澤 眞平
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.404-408, 2002-09-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
20

前頭葉, 前頭前野の性差による解剖学的左右非対称性について, 三次元MRI画像を用いて定量的に体積測定を行った.前頭葉, 前頭前野ともに男性では左側が大きく, また加齢とともにその非対称性が大きくなるが, 女性では左右非対称性は明らかでなく, 年齢による影響を受けないことを確認した.男性では女性と比較して前頭葉の機能の側性化 (lateraliZation) が強いことが神経心理学的研究で示唆されているが, 今回の検討はこれら機能的側性化を解剖学的に裏付ける結果であった.今後, 神経心理学的検討と合わせて三次元MRIを用いた体積測定を行うことは, 性差における前頭葉, 前頭前野の機能的な相違に客観的知見を与えるものと考えられる.