著者
中澤 章 唐 寧 井上 嘉則 上茶谷 若 加藤 敏文 齊藤 満 小原 健嗣 鳥羽 陽 早川 和一
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
産業医大誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.69-74, 2017

<p>著者らが開発した繊維状吸着材(DAM不織布)は,両性イオン型高分子であるジアリルアミン‐マレイン酸共重合体(diallylamine-maleic acid copolymer: DAM)を含有し,繊維表面に水和層を形成する.本研究では,悪臭物質の一つである半揮発性有機酸(C1-C5)を対象に水溶液だけでなくガス状でもDAM不織布の吸着特性評価を行った.まず,水溶液中のギ酸はDAM不織布の水和層へ溶解した後,DAMのイミノ基との静電相互作用で吸着することがわかった.一方ガス状では,ギ酸,プロピオン酸,酪酸,吉草酸,イソ吉草酸について高い吸着能を有し,吸着量は曝露時間に依存して増加する傾向があった.ガス状有機酸に対する吸着も水溶液と同様の機序で生じていると考えられるが,さらに酢酸を除く有機酸の吸着速度定数と空気 / 水分配係数(log <i>K<sub>aw</sub></i>)が良好な相関性を有したことから,DAM不織布は大気中から不織布表面に形成される水和層へ移行性が高い親水性化合物に対するほど高い選択性をもつことが示された.</p>
著者
中澤 章 久永 竜一 吉村 浩一
出版者
東京歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

正確なシェ-ドマッチングを行い,それを適切に歯科技工士に伝達することは,審美的な歯冠補綴を行うために,極めて重要である。これまでシェ-ドマッチングは歯科医師の主観に頼るところが大きく,客観性に乏しかった。現時点ではシェ-ドガイドを写し込んだスライドを利用するのが臨床的には最も良い方法とされている。しかし現像にかかわる時間的コスト,経済的コストの問題などを考慮すると,さらに検討の余地も残している。マッチングの適否については何の情報も提供していない。そこでデジタルスチルカメラを用いたコンピュータイメージングシステムを開発し、歯科におけるカラーマッチングとカラーコミュニケーションへの活用を検討したところ、以下の結論を得た。1.画像を合成し補綴前後の色と形態をシミュレーションをしたところ、画質、スピード共に優れ、患者、歯科医師、歯科技工士相互のコミュニケーションに有用なことがわかった。2.コンピュータで画像を合成してカラーマッチングしたところ、正答率は85%となり、従来の視感によるカラーマッチングの正答率71%に比べ、有意に有効だった(P<.05)。3.コンピュータ支援の計算によるカラーマッチングの正答率は94%であり、従来の視感によるカラーマッチングに比べ、有意に有効だった(P<.01)。4.デジタルカメラを仮想の色彩計とみなし、選択部分のL^*a^*b^*を算出することにより各シェ-ドとの位置関係が容易に把握でき、補綴物製作時はもとより、製作後の再評価の指針となり得ることがわかった。