著者
中西 正治 Nakanishi Masaharu
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学・教育実践 = Bulletin of the Faculty of Education, Mie University. Natural Science, Humanities, Social Science, Education, Educational Practice (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.70, pp.301-311, 2019-01-04

現場では「単位当たり量」と「単位量当たりの大きさ」の2つの用語が混在している。同じような意味で使用している場合がほとんどで、この2つがどう異なるのかについて明確に認識されているとは考えにくい状況である。そこで本稿では「単位当たり量」と「単位量当たりの大きさ」の考え方の違いについて考察している。結論論として、「単位当たり量」は、その物や事象が内包している強さや大きさの程度を表すために(少なくとも)適切な2つの独立した量を測定しそれらをもとに数量化された既測量であり、「単位量当たりの大きさ」は、2つの量を見比べるときに生まれてくる量であるとしている。2つの考え方の違いはシェーマにも現れ、「単位当たり量」は「かけわり図」になり、「単位量当たりの大きさ」は2つの直線になる。またそれらの違いがシェーマの違いにつながり、児童の理解にどのように関わるのかについて考察している。
著者
中西 正治 Nananishi Masaharu
出版者
中国四国教育学会
雑誌
教育学研究紀要 (ISSN:02871114)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.204-209, 2002-03-21
著者
中西 正治 Masaharu NAKANISHI
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要 (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.193-208, 2013

広島高等師範学校附属中学校が、明治後期・大正・昭和初期にかけて行ってきた関数や関数の考え方に対する教育(関数教育)はどのようなものであったのか、その様相を明らかにすることが本稿の目的である。研究の結果、明治38年度から大正5年までは、教科書作成第I期に向けて準備を進めた準備期、関数概念の養成を代数学を中心として進めた創生期(第I期:大正6年~大正12年)、幾何学で式とグラフの利用、算術でグラフ利用及び代数学の更なる充実をはかった成長期(第II期:大正11年~大正15年、第III期:大正15年~昭和5年)、数学全体という志向でより広がりを見せた成熟期(第IV期:昭和6年~昭和8年)と、大きく4つに分けられることが明らかとなった。
著者
中西 正治
出版者
公益社団法人日本数学教育学会
雑誌
数学教育論文発表会論文集
巻号頁・発行日
vol.39, pp.655-660, 2006-10-07

本稿は、『カズノホン』『初等科算數』における関数教育の変容や特質について考察したものである。考察の結果、次の4点が明らかとなった。1点目は、関数教育を比例関係と反比例関係だけの学習とするのではなく、統計資料や図形の事象においても、静的ではなく動的に見みることによって、関数的な見方や考え方をしていること、2点目は、関数関係としての比例・反比例は6年生で学習しているが、その素地および段階的な指導は1年生から始められていること、3点目は、グラフを変化の全体の趨勢を考察するための有効的な手段としていること、4点目は、6年生を中心に力学的な事例が多く盛り込まれ、実験を通してその事象における各々の関係の理解を図っており、その力学的関係の理解には比例関係と反比例関係を基盤としていることである。