著者
中谷 美穂
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.24-46, 2009 (Released:2017-03-08)
参考文献数
34
被引用文献数
2

議会の機能に関する研究では,政策アウトプットにおける議会の影響を扱う研究が多く,議会のパフォーマンスを対象とし,かつ議会間の差を検討する研究が少ない。また議会の機能を説明する変数としては,議会の党派性や首長と議会の会派構成の違いなどが要因として用いられており,アクターの心理的変数,ならびにそれを集団的に捉えた政治文化的変数を用いる研究が少ない。 そこで本稿では,地方分権が進展する中,議会にも政策立案機能が求められていることを背景とし,都道府県間の議員提案による政策条例数をパフォーマンス指標として取り上げ,その規定要因として議会内の立法型役割意識の程度,首長―議会間での是々非々意識といった政治文化変数を用い,他の要因も含めて分析を行った。その結果,2つの政治文化変数が政策条例を促進する要因として有意であることがわかり,また鳥取県の事例研究からも同様の結果を得ることができた。
著者
中谷 美穂
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.24-46, 2009

議会の機能に関する研究では,政策アウトプットにおける議会の影響を扱う研究が多く,議会のパフォーマンスを対象とし,かつ議会間の差を検討する研究が少ない。また議会の機能を説明する変数としては,議会の党派性や首長と議会の会派構成の違いなどが要因として用いられており,アクターの心理的変数,ならびにそれを集団的に捉えた政治文化的変数を用いる研究が少ない。そこで本稿では,地方分権が進展する中,議会にも政策立案機能が求められていることを背景とし,都道府県間の議員提案による政策条例数をパフォーマンス指標として取り上げ,その規定要因として議会内の立法型役割意識の程度,首長―議会間での是々非々意識といった政治文化変数を用い,他の要因も含めて分析を行った。その結果,2つの政治文化変数が政策条例を促進する要因として有意であることがわかり,また鳥取県の事例研究からも同様の結果を得ることができた。
著者
小林 良彰 名取 良太 河村 和徳 金 宗郁 中谷 美穂 羅 一慶
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

平成23年度、(1)選挙公約内容分析ユニットでは、日本の地方選挙における都道府県知事選拳・都道府県議会議員選挙・政令指定都市長選挙・政令指定都市議会議員選挙、韓国の地方選挙における道知事選挙・道議会議員選挙・広域市長選挙・広域市議会議員選挙の公約を収集して、16の政策領域について内容分析した。次に、(2)政治的選好/政策分析ユニットでは、平成22年度に行った日本の都道府県知事・全ての市長宛の意識調査と比較するために、日本の都道府県議会議長・全ての市議会議長、韓国の道知事・基礎自治体長・道議会議長・基礎自治体議会議長宛の意識調査を行った。また日本の都道府県・全ての市の企画部局、韓国の道・広域市を含む全ての基礎自治体の企画部局宛の意識調査を行った。さらに(3)データアーカイブユニットでは、日本の都道府県、政令市を含む全ての市町村、韓国の道・広域市を含む全ての基礎自治体の財政データを収集してデータアーカイブを構築した。上記の各ユニットで得られたデータを接合して分析した結果、地方分権の効果は、(ア)韓国においてより肯定的に評価されていること、(イ)韓国においてより地域活性化への意識が強いこと、(ウ)日本においてより財政再建志向が強いこと、(エ)韓国において、より「代理型」の代表スタイルが施行されていること、(オ)韓国では、政治的・財政的に中央との結びつきが強く意識されていること、(カ)日韓両国とも、首長と議会の間の認識ギャップが存在するが、そのギャップは日本において、より顕著に見られること、(キ)韓国の地方選挙において公約の地域差のみが表れるのに対して、日本の地方選挙においては公約の地域差と政党差をみることができ、有権者に政策上の選択肢が提示されていることが明らかになった。これらの分析を通して、日本と韓国における自治体が有する共通点と相違点が統計的に明らかにされた意義は大きいと考える。