著者
三谷 康夫 筒本 和広 中迫 昇
出版者
福山大学
雑誌
福山大学工学部紀要 (ISSN:0286858X)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.1-8, 2005-12

In order to establish an objective approach for evaluating human emotions, Emotional Spectrum Analysis Method (ESAM) has been proposed by Dr. T. Musha et al. It is possible to estimate emotion spectrums with four basic emotional states (i.e., anger/stress, joy, sadness and relaxation) by using ESAM and the measured data of brain waves. Now, we pay attention to the emotional evaluation of music sounds. More specifically, this paper describes the influence of a change of music sounds with different tones (from a minor scale to a major scale) on human emotions. The brain waves for six subjects are measured by electroencephalogram (EEG). Each emotion spectrum can be estimated by using the emotion spectrum analysis system developed by Brain Functions Laboratory, Inc. based on ESAM. The effectiveness of ESAM is experimentally confirmed by applying it to the emotion evaluation problem of the above two kinds of music sounds. We find out the possibility of ESAM for the objective evaluation in the field of music.
著者
中迫 昇 篠原 寿広 上保 徹志 英 慎平
出版者
一般社団法人 システム制御情報学会
雑誌
システム制御情報学会 研究発表講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.10, pp.222, 2010

人間は身の回りの気配を察知することができ、とくに盲人の方はその能力が高い。近年、気配察知のメカニズムが、音による干渉とLocalizationからなることが報告されている。本研究では、人間の持つ気配察知能力の解明とコンピュータによるその実現を究極の目標として、可聴音を用いた距離推定について基礎的な研究を行い、シミュレーションや実際の音場での実験を通じてその有効性を検証する。
著者
英 慎平 上保 徹志 土田 悠太 篠原 寿広 中迫 昇
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌. C, 電子・情報・システム部門誌 = The transactions of the Institute of Electrical Engineers of Japan. C, A publication of Electronics, Information and System Society (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.129, no.11, pp.2027-2033, 2009-11-01
被引用文献数
3

In many engineering fields, distance to target is very important and fundamental information. Acoustical signal often plays an essential role in measurement of distance. Though there are distance measurement methods using a time delay between transmitted and reflected waves, it is difficult to measure short distance because the reflected waves are often buried in the transmitted wave for short distance. Recently, a method for measuring the short distance has been proposed using standing wave. We applied the fundamental principle of this method to the estimation of short distance using audible sound as a transmitted wave. This method enabled us to obtain range spectrum from power spectrum of composite sound, but it required Fourier Transfom twice. This paper introduces the chirp signal, which is a signal such that the frequency changes with lapse of time, as a transmitted wave, and an interference arises due to the superposition of transmitted and reflected waves. Since the period of power fluctuation for the composite sound is inversely proportional to the distance between microphone and target, we propose a new distance estimation method by using chirp signal as a transmitted wave. Finally, we also confirm the validity of the proposed method through computer simulation and by experiment in an actual sound field.
著者
太田 光雄 三谷 康夫 中迫 昇
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学
巻号頁・発行日
vol.96, no.163, pp.75-82, 1996-07-19

本報告では, D. Middletonの確率的評価理論との具体的関連性に着目し, 自乗平均操作をもつReceiverにより観測されたパワー状態変量に対する確率表現を多次元信号空間内におけるN次元ランダムウォークモデルのもとに, 高次ハンケル変換型特性関数を導入して考察する。本理論の正当性は, スペシャルケースとしてD. Middletonの基礎理論との一致性を示すことにより証明される。更に, 波動環境の確率評価の問題として, 電磁環境や音環境の実測データにも本理論を適用し, その有効性を実験的にも検証する。
著者
中迫 昇
出版者
近畿大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1994

本研究では、もともとの変動が有限な範囲内に留まっていたり、(飽和型非線形系の)計測器のダイナミック・レンジなどの存在により有限な範囲内の値を示す実際的な場合において、非定常入力を伴う系の応答解析を最終目標としている。今回は研究の初期的段階にあることから、特に飽和型非線形系における非定常変動観測時の雑音対策を、システムの物理メカニズムと直結するパワースケールとの関連で考究した。すなわち、有限レベル変動範囲のダイナミック・レンジをもつ観測データを用いて、任意分布型の外来雑音に汚された未知非定常信号(特に、パワースケールのような正の物理量)を、動的に推定してゆく推定アルゴリズムをベイズ定理に基づき開発した。具体的には、飽和の影響を受ける前の任意変動の観測値と任意非ガウス型変動を示す未知信号間の線形・非線形の各種相情報を階層的に反映した新たな信号復元法を、広義ディジタルフィルタの形で見い出した。更に本研究で得られた理論的結果を、シミュレーションデータや残響室内における暗騒音混入下の実音響データに適用し、その有効性を検証した。本研究で得られた理論の特長を列挙すると以下のとおりである。1)本手法は、外来雑音の混入とダイナミックレンジの存在に整合している。2)実システムが本質的にもつ非ガウス性、非線形性に対応できる。3)推定アルゴリズムが実用的である。すなわち、観測レンジ内では従来のベイズフィルタを形式的に採用し、観測レンジの上限、下限では確率密度の集中を簡易的に考慮している。4)スペシャルケースとして、ダイナミック・レンジが十分広い場合には、従来のベイズフィルタを理論的に包含している。本研究をもとに、今後、非定常な確率現象と計測における有限性を伴うあらゆる実分野への適用とその成果が期待できる(たとえば、機械振動、地盤振動、道路交通騒音などにおける非定常揺らぎの評価や解析など)。
著者
中迫 昇
出版者
近畿大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1995

本研究では、我々の生活と切り放すことができない音環境システムに特に着目し、その信号処理を目指して、多変量解析の分野で公知の主成分分析法と因子分析法の拡張を試みた。まず、特に音環境における確率評価量(例えば、Lx、Leq)間での双方向変換関係を見いだす目的で、公知の主成分分析法を理論的に拡張した。具体的には、線形関係および自乗誤差評価(すなわち、線形相関を利用)のみに基づく従来の手法とは異なり、非線形モデルの導入や、高次相関情報の誤差評価への利用などを行なった。さらに、公知の回帰分析法と対比させながら提案手法を実測データに適用し、良好な結果を得た。この成分分析の拡張手法には次のような特長がある。すなわち、1)実現象ごもつ複雑さや各変数間の非線形性に対応できる、2)多変数間の線形相関情報のみでなく非線形相関をも利用できる、3)従来の主成分分析法をスペシャルケースで含んでいる、4)2変数のみでなく、3変数以上の場合のもそのまま本手法が拡張できる、などである。ついで、音環境における複雑な多数遮音システムを、暗騒音に埋もれた出力観測のみから同時に同定したり、その出力応答を(騒音評価量とも関連し)揺らぎ分布全体において予測する目的で、特に実用的な立場から因子分析法の考え方を拡張した。具体的には、共通因子と独自因子に実体的メカニズムをまず反映させて、それぞれ騒音入力インテンシティ、各観測点での暗騒音インテンシティとして捉え、インテンシティスケールでの線形モデルに基づきシステムパラメータとして因子負荷量を推定した。この結果を用いて、暗騒音の影響がない場合、すなわち入力騒音のみに対する出力騒音の分布予測を行うことができる。さらに、本手法を実際の音環境データへ適用することによりその有効性を実験的にも確認できた。この因子分析の拡張手法は次のような特長を持っている。すなわち、1)複数システムを同時に扱える、2)入力および暗騒音が未知でも適用できる、3)計測において入出力間の同期をとる必要がない、などである。
著者
中迫 昇
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

騒音制御には、吸音材などを用いる受動的な手法や、騒音を音で打ち消す能動的な手法が知られている。一方、電磁波の分野では,不規則な揺らぎのある媒質中を波が伝わるとき,波が遠くまで伝わらず,その結果小さな領域に波動が閉じ込められる共振現象(局在)が知られている。ランダム媒質あるいはランダムな装荷をもつ音場でも急激な音の指数的減衰があると予想され、それを騒音抑圧に利用することが期待できる。本研究では、ランダム性を導入した1次元ダクト(ランダムダクト)の減衰特性に着目し、その理論解析に基づいてシミュレーションを行い、最終的に実機での消音実験を目指した。具体的な年度ごとの成果は以下のようになる。[2005年度]1.ダクト内の音場を分布定数線路の等価回路で表し、音源(騒音源)に対して通常の1次元ダクト内での音場を解析ならびにシミュレーションを行った。2.1の理論を元にダクト内にランダム媒質が存在する場合の音場の減衰特性を理論的に見出した。3.理論の正当性を検証するためにシミュレーションを行い、急激な音の減衰が起こることを示した。4.得られた成果を、学会発表ならびに論文として公表した。[2006年度]1.2005年度に引き続き、ダクト内の音場を分布定数線路の等価回路で表し、音源(騒音源)に対して通常の1次元ダクト内での音場を解析ならびにシミュレーションを行った。2.ついで、1の理論を元にダクトにランダム装荷を導入した場合の音場の減衰特性を理論的に見出した。3.理論の正当性を検証するためにシミュレーションを行い、ランダム媒質と同様、ランダム装荷でも急激な音の減衰が起こることを確かめた。4.得られた成果は、論文発表として公表した。