著者
中里 純二 藤本 賢司 菊池 浩明
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.8, pp.2068-2077, 2005-08-15
被引用文献数
3

本論文では,ロバスト性を保証して回答者のプライバシを守る,ウェブでのアンケートを行うセキュアプロトコルを提案する.提案プロトコルは,Cramerらによって提案された効率の良い秘匿性を満たしたセキュア電子投票プロトコルに基づいている.秘匿性と効率性は,選挙とアンケートの両方に共通する要求条件である.しかし,特にアンケートにおいては複数の選択肢を同時に選択することが許されていることがあり,選択肢数nに対して,通信量が指数関数的に増加するという課題が生じることを本論文で指摘する.この課題を解決するために,正当性の証明コストをΘ(2n) からΘ(n)に削減するプロトコルの提案を行う.また,試験実装に基づいたパフォーマンス評価を与える.This paper proposes a secure protocol for web-based questionnaire that preserves the privacy of responders and ensures the robustness. The proposed protocol is based on secure electronic voting protocol proposed by Cramer et al. with confidentiality and efficiency, which are common requirements for both applications. This paper points out an issue particular in the secure questionnaire, that is, a requirement to deal with a multiple-choice question, and shows that the communication overhead grows exponentially with the number of choices n. To address the issue, the proposed protocol reduces the cost from Θ(2n) to Θ(n). The performance based on the experimental implementation is also shown.
著者
中里 純二 班 涛 島村 隼平 衛藤 将史 井上 大介 中尾 康二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICSS, 情報通信システムセキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.502, pp.101-106, 2014-03-20

スパムメール本文を用いた特徴分析では,スパムメールの目的や攻撃活動(キャンペーン)の違いにより特徴が変化する.そこで,キャンペーンなどに影響を受けない新たな分析手法として,メールヘッダ内に記載されている転送経路に着目したスパムメール分析を行う.複数のスパムメールの転送経路情報を利用する事で,確度の高い分析を行う事が可能となる.本論文では,スパムメール関連ホストの状態をNICTERで収集しているスパムメールと大規模ダークネット観測を用いた分析を行う.複数のスパムメールから抽出した転送経路とダークネットトラフィックを突合する事で,ボットなどによるスパム送信ホストやリレーサーバの存在を明らかにする.
著者
菊池 浩明 中里 純二 中西 祥八郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.214, pp.45-51, 2001-07-18
被引用文献数
1

本論文は, 1か0かの秘密を漏らさないまま, 公開検証可能な方法で足し算を実行するプロトコルを提案している.提案方式は, 従来の膨大な帯域を消費し何回にも及ぶラウンドを必要としたマルチパーティプロトコルとは異なり, 非対話的な定数回のラウンドと単純で送信者にも集計者にも検証可能な計算処理を必要とする.提案方式は, 〔2〕に基づいている.提案方式は, 投票者が投票用紙を分散された公開鍵について暗号化して投票し, 集計者が賛成投票数をわからないまま数えるという秘密投票に応用可能である.