著者
池田 光穂 井上 大介 Ikeda Mitsuho Inoue Daisuke イケダ ミツホ イノウエ ダイスケ
出版者
大阪大学COデザインセンター
雑誌
Co*Design (ISSN:24349593)
巻号頁・発行日
no.9, pp.31-45, 2021-01-31

本稿は、サイバースペース(=インターネット空間)におけるサイバーパンクという概念を扱い、その倫理的あるいは非倫理的特質について人類学的に分析するものである。その際、社会に対するサイバーパンクの抵抗者としての特徴を確認するとともに、それがアイデンティティとよばれる社会的拘束に根差した概念ではなくエージェンシーという言葉で表現されうる、より行為実践に依拠した概念と関連する性質のものであることが論じられる。
著者
井上 大介
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.24-27, 2022 (Released:2022-03-25)
参考文献数
16

これまで,微小管のダイナミクスは,その末端でのみ生じると考えられてきたが,最近,格子中心部でも発生することが明らかとなってきた.本稿では,微小管格子内ダイナミクスに関する最近の研究について解説し,その中で,筆者らの生体分子モーターによる微小管格子内ダイナミクスの促進に関する研究について紹介する.
著者
井上 大介
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.56, no.8, pp.740-741, 2015-07-15
著者
宮前 茜 新井 悠里江 井上 大介 青柳 恵三子 後閑 浩之
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A1217, 2007 (Released:2007-05-09)

【目的】立位時に唯一の支持面である足底には、身体運動遂行と状況変化に対応して足底の感覚情報を集積する多数のメカノレセプターが存在する。足趾把持練習によるバランスの向上にはメカノレセプターの賦活が関係し、メカノレセプターは筋伸張と速度変化によって活動頻度が増加するといわれている。今回タオルギャザーにおいて、筋を伸張させかつ快適な速度で実施、さらに肢位を坐位と立位で行い、肢位の違いによる固有受容覚及びバランスへの影響を検討することを目的とした。【方法】対象は同意が得られた当院スタッフ健常者16名で平均は25.8±3.0歳。測定項目は固有受容性テストの変法(以下PPT)、functional reach(以下FR)、片脚立位の30秒間の総軌跡長と外周面積をAnima社製重心動揺計にて計測し、これらを介入前後に計測した。PPTは立位の施行内容を坐位の姿勢で変法として考案した。方法は閉眼坐位で左右どちらか一方の脚の股関節を最大屈曲し、最初の位置に戻す方法で実施した。逸脱した距離を2.5mm刻みで測定し、回数は14回で3回目以降の平均値を採択(ICC=0.851)した。介入はタオルギャザーを実施し、両足75回/分の速度で足趾の伸展を意識し20秒間実施、1分の休憩を挟んで3セット実施した。学習効果を配慮し、同一対象者で坐位と立位での介入・計測に2日以上の間を空けた。PPTの挙上した下肢と、介入肢位の順序は無作為に決定した。統計処理は対応ありのt検定を用い、有意水準は5%未満とした。【結果】PPTの逸脱した距離は介入肢位が坐位、立位ともに介入前に比べて介入後に有意に減少した。片脚立位での総軌跡長は、介入肢位が立位でのみ介入前に比べて介入後に有意に減少した。FRにおいては介入肢位に関わらず介入前後で有意な差は認められなかった。【考察・まとめ】タオルギャザー実施後に介入肢位が坐位と立位の両方でPPTの逸脱した距離の減少が有意に認められたことから、介入肢位には関係なく下肢全体のメカノレセプターの賦活の可能性が示唆された。また介入肢位が立位において片脚立位での動揺が制御され総軌跡長が減少したのは、立位が荷重肢位であり、足底圧増大や重心移動が加わることによる姿勢保持のための筋出力が増大したためと考える。このことからタオルギャザー介入肢位は坐位よりも立位の方が有用である可能性が示唆された。
著者
村上 洸介 笠間 貴弘 井上 大介
雑誌
研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:21888655)
巻号頁・発行日
vol.2021-CSEC-94, no.34, pp.1-6, 2021-07-12

Mirai の登場以降,Telnet や SSH サービス等がインターネットからアクセス可能かつ ID/Password 設定の強度が不十分である IoT 機器がマルウェアに感染する事例が多発している.Mirai を含む IoT マルウェアの中には,感染後に当該機器が他のマルウェアに感染するのを阻止する目的で Telnet 等へのアクセスを禁止するものが存在するが,日本国内においてもインターネット側から Telnet サービスへアクセス可能な機器は数万台規模で未だ存在してい る.この事実は,それらの機器が適切なパスワード設定によってマルウェア感染を回避しており,サイバー攻撃の踏み台として悪用されないことを示すのだろうか? 我々は日本国内のパスワード設定に不備のある IoT 機器に対する調査プロジェクト NOTICE を 2019 年 2 月より開始した.本稿では,NOTICE プロジェクトの調査結果と大規模ダークネットの観測結果より,パスワード設定に不備のある IoT 機器のマルウェア感染状況を分析すると共に,マルウェア非感染の要因や当該機器がサイバー攻撃へ悪用されるリスクを明らかにする.
著者
井上 大介
出版者
The Visualization Society of Japan
雑誌
可視化情報学会誌 (ISSN:09164731)
巻号頁・発行日
vol.36, no.141, pp.27-31, 2016 (Released:2017-04-01)
参考文献数
3

インターネットの進歩と発展とともに,インターネットを経由したサイバー攻撃も日々大規模化と高度化を続けており,重大な社会問題となっている.情報通信研究機構(NICT)では,それらのサイバー攻撃を観測し,分析するための複合的なシステムとして,インシデント分析センタNICTERの開発を行ってきた.本稿では,サイバー攻撃対策を目的としたサイバーセキュリティ分野の可視化技術について,NICTERとそのスピンオフ技術を中心に紹介する.
著者
井上 大介
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.56, no.8, pp.740-741, 2015-07-15
著者
井上 大介
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.244-248, 2020-05-01 (Released:2020-05-01)

人間社会の歴史において犯罪行為が途絶えたことがないのと同様に,サイバー空間における攻撃行為(以下,サイバー攻撃)もまた途絶える気配はなく,むしろ攻撃対象の拡大や攻撃に用いられる技術の高度化が進んでいる。本稿では,ここ数年のサイバー攻撃全般の動向を概観するとともに,サイバー攻撃大規模観測・分析システムNICTER(ニクター)の観測に基づく無差別型サイバー攻撃の動向について詳説し,感染IoT機器の現状とその対策の一つであるNOTICEの取り組みについて紹介する。
著者
伊沢 亮一 班 涛 井上 大介
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICSS, 情報通信システムセキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.315, pp.19-24, 2012-11-15

パッカ特定にはPEiDと呼ばれるシグネチャベースのツールが利用されることが多い.対象のファイルにシグネチャが含まれるかを完全一致で検査するため,シグネチャに1バイトでも誤りがあるとパッカを特定することができない.これに起因して,誤りが含まれないようにするために長いシグネチャを作成することが難しく,偽陽性率(False Positive率)が高いことが問題となっている.本稿では,PEiDの課題を改善するという立場で,String-Kernel-Based SVMを用いたパッカ特定手法を提案する.学習データにはPEiDのシグネチャと同様にパックされたファイルのバイト列を用いるが,SVMには完全一致のような制約がないため,より長いバイト列をパッカの特定に利用できる.評価実験では,5クラス問題においてAccuracyが99.84%でパッカの特定が可能であることを示す.提案手法はマルウェアに施されているパッカの特定に利用し,マルウェアの解析に役立てることを目的としている.
著者
津田 侑 遠峰 隆史 井上 大介
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICSS, 情報通信システムセキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.502, pp.77-82, 2014-03-20

個人情報やプライバシーに係る情報がユーザ自身により書き込まれるSNSでは,攻撃者にそれらの情報を窃取される恐れがある.実際に,情報窃取用の不正なアカウントを作成しユーザと友達関係を構築することで,公開されたプロフィール情報以外に友達のみに限定公開されたものまでも窃取する方法が存在する.本研究ではSNSの特性を活かし, SNS上のユーザらが協力して不正アカウントを報告し合うシステムを提案する.本システムでは,友達申請を受けた時点でそのアカウントが不正なものかどうかの判定基準をユーザに示し,不正アカウントの報告を促す.報告された不正アカウントは他のユーザにも共有され,ユーザ同士で注意喚起することを可能とする.本研究の最後では,実際に7人のFacebookユーザが本システムを用いて収集した不正アカウントを分析し,それらのプロフィール情報の特徴やそれらが行う友達申請行為に着目した考察を述べる.
著者
中里 純二 班 涛 島村 隼平 衛藤 将史 井上 大介 中尾 康二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICSS, 情報通信システムセキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.502, pp.101-106, 2014-03-20

スパムメール本文を用いた特徴分析では,スパムメールの目的や攻撃活動(キャンペーン)の違いにより特徴が変化する.そこで,キャンペーンなどに影響を受けない新たな分析手法として,メールヘッダ内に記載されている転送経路に着目したスパムメール分析を行う.複数のスパムメールの転送経路情報を利用する事で,確度の高い分析を行う事が可能となる.本論文では,スパムメール関連ホストの状態をNICTERで収集しているスパムメールと大規模ダークネット観測を用いた分析を行う.複数のスパムメールから抽出した転送経路とダークネットトラフィックを突合する事で,ボットなどによるスパム送信ホストやリレーサーバの存在を明らかにする.
著者
岩本 一樹 神薗 雅紀 津田 侑 遠峰 隆史 井上 大介 中尾 康二
雑誌
研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC)
巻号頁・発行日
vol.2014-CSEC-65, no.13, pp.1-6, 2014-05-15

アプリケーションの脆弱性を攻撃する電子文書型マルウェアを動的に解析するためには,該当する脆弱性をもつアプリケーションを準備する必要がある.しかし脆弱性の種類を特定することは困難な場合があり,またアプリケーションが入手できない可能性もある.一方,脆弱性を攻撃した後に動作する不正なプログラム (シェルコード) は脆弱性やアプリケーションに関係なく独立して動作することが多い.そこで本研究では脆弱性の種類を特定することなく,またアプリケーションが無くても電子文書型マルウェアの動的解析が行えるようにするために,電子文書型マルウェアに含まれるシェルコードを特定して実行する方法を提案する.
著者
井上 大介 INOUE Daisuke
出版者
創価大学社会学会
雑誌
SOCIOLOGICA (ISSN:03859754)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1-2, pp.35-56, 2023-03-20

本稿ではインターネットをはじめとする電子メディアを媒介としたコミュニケーション、相互行為が社会をどのように変容させつつあるのかという点について、宗教文化に限定して考察したものである。日本におけるデジタル・メディアと宗教に関する研究では、宗教教団がどのようにインターネットを活用しており、組織の形態や運営がどのように変化しつつあるのか、といった事例研究が中心となってきた。他方、欧米における研究動向では、Digital Religion という領域において様々な研究が、 990 年代以降蓄積されてきた。本論の前半では、同研究領域の概要を先行研究に沿って紹介し、特にそこでの理論的枠組みが宗教観、儀礼、帰属意識、共同体、権威、身体化という6つの領域である点を整理した。後半では、その中の権威について注目しつつ、キューバにおけるヨルバ系宗教であるレグラ・デ・オチャ=イファ信仰を題材に、そこにおける伝統的指導者と現代的指導者の相違点、およびそこでの師弟関係の変容および孤独化の現状に注目しつつ論を展開した。
著者
井上 大介 松本 勉
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.8, pp.2489-2501, 2002-08-15

ステガノグラフィは真に伝えたい情報を見せかけの媒体の中に埋込み伝送すると いう方法で,通信行為の存在を秘匿することを目指す研究分野であり,画像,音声,テキストなど様々な媒体を用いたステガノグラフィ方式が研究され てきている.本論文では,楽曲の演奏データとして広く利用されているスタンダードMIDIファ イル(SMF)を媒体とするステガノグラフィ方式 ---SMFステガノグラフィ--- を提案し,それが媒体の演奏音をまったく変化させるこ となく,ファイルサイズに対して平均約1[%]の情報を埋込むことができる能力 を持つことを実験的に実証する.また,クォンタイズと呼ばれる音の時間情報 の操作を適用することで,SMFに埋込むことのできる情報量が向上することを実 証する.さらに,SMFステガノグラフィの安全性についての議論を行う.
著者
井上 大介 吉永 隼人 BIKASH MALLA RAJANI GHAJU SHRESTHA SARMILA TANDUKAR DINESH BHANDARI 田中 靖浩 JEEVAN B. SHERCHAND 原本 英司 清 和成
出版者
日本水処理生物学会
雑誌
日本水処理生物学会誌 (ISSN:09106758)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.65-72, 2018 (Released:2018-06-15)
参考文献数
20

ネパール・カトマンズ盆地では、水源の微生物汚染が深刻な問題となっている。本研究では、カトマンズ盆地において飲用水や生活用水として主に利用されている市販の飲用ボトル水(10試料)、浅井戸地下水(10試料)、深井戸地下水(3試料)、公共水場水(1試料)、湧水(2試料)と、河川水(2試料)の計28試料を採取し、病原性細菌の存在を網羅的に調査した。ヒト、動物、植物、及び魚介類に感染する941種/グループの病原性細菌(バイオセーフティレベル(BSL)2、3の全属及び日和見感染菌)の16S rRNA遺伝子を標的とするDNAマイクロアレイを用いた病原性細菌の網羅的検出の結果、Acinetobacter属、Arthrobacter属、Brevibacterium属、Pseudomonas属、及びLegionella属が大部分の試料で検出され、一部の試料ではBSL3の病原性細菌も検出された。Legionella属及びBSL3に属するBrucella属を対象として属特異的PCRによる定量検出を試みた結果、一部の試料においてDNAマイクロアレイ解析を支持する結果が得られた。また、DNAマイクロアレイ解析において6試料以上で検出された病原性細菌を対象として、糞便汚染指標(大腸菌群、大腸菌)との関連性について検討を行った結果、そのほとんどが糞便汚染指標とは相関を示さないことが明らかとなった。本研究の成果は、カトマンズ盆地における病原性細菌汚染の解明や、詳細な調査を要する病原性細菌種の特定の一助となり得るものと考えられる。