著者
中野 創
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.103, 2007-04-10

読者の皆様は「どんずあな,け」の意味がわかりますか? ここ青森県津軽地方で医師として仕事をするためには,いわゆる津軽弁を理解する必要があります.日本の津々浦々にユニークな方言がありますが,津軽弁もそれらに負けない独特の語彙を有しています.体の各所を現す言葉には,じゃんぼ,なずぎ,ぼんのご,おどげ,よろた,あぐど,どんず,はど,などがあります.それぞれ,髪,額,項,頤,太腿,踵,尻,陰茎の意味です.濁点が多いのが特徴でもありますが,それを上手くフィルターにかけると語源が推測できる語もあります.「なずぎ」は「脳(なずき)」,「ぼんのご」はうなじの窪みを表す「盆の窪(ぼんのくぼ)」,「おどげ」は「頤(おとがい)」,「あぐど」は『東海道中膝栗毛』にも用例が見いだされる,かかとを示す「踵(あくと)」がそれぞれ転訛したものと考えられます.
著者
立林 めぐ美 川田 暁 松尾 仁子 中野 創
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.13, no.5, pp.382-386, 2014 (Released:2015-02-13)
参考文献数
18

65歳,男性。20歳頃より多量の飲酒歴があった。初診の約6ヶ月前より露光部に水疱形成を繰り返すようになり,当科を紹介され受診した。初診時,顔面に色素沈着,両手背に水疱・びらん・痂皮がみられた。病理組織学的所見は表皮下水疱で,PAS 染色にて真皮上中層の血管壁に PAS 陽性物質の沈着を認めた。臨床検査では,軽度の肝機能障害と尿中ウロポルフィリンの著明な上昇を認めた。HCV 抗体,HBs 抗原,HBs 抗体は陰性であった。患者末梢血を用いて遺伝子検索を行ったが,uroporphyrinogen decarboxylase 遺伝子,hemochromatosis 遺伝子の変異は同定されなかった。後天性の晩発性皮膚ポルフィリン症と診断し,禁酒を指導した。さらにプロトポルフィリンIXの吸収波長の最大のピークが 405~410nm にあることから,405~450nm の波長域の光を吸収するように作製したファンデーション剤を使用させたところ,現在水疱の新生はみられていない。本症においては可視光を防御するファンデーション剤の使用が有用と考えられた。(皮膚の科学,13: 382-386, 2014)
著者
澤村 大輔 松崎 康司 中野 創
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

遺伝子を破壊するのではなく,任意の時期に目的の蛋白そのものを分解できるマウスシステムを着想した.そこでBP180の分解を試みた. K14プロモーター下に、分解TAGを持つBP180遺伝子を発現する遺伝子コンストラクトを作製。表皮細胞株にTIR遺伝子を導入して、TIR遺伝子を恒常的に発現する細胞株を作製した。それらの発現をウエスタンブロットと蛍光抗体法で確認した。次にその細胞株に、TAG-BP180の遺伝子を導入し、オーキシンを加えたところ、TAG-BP180の分解が確かめられた.本研究は、接合部型表皮水疱症や類天疱瘡の新しい観点からの診断法や治療法が確立される可能性が高いことが解明された。