著者
川上 民裕
出版者
東北医科薬科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

ヒトiPS細胞由来メラノサイトを独自の条件設定で、効率よく分化・増殖させ、大量産生に成功した(特許取得)。本研究は、この細胞のさまざまな臨床応用へのステップである。①メラノサイトの欠如・機能不全疾患である尋常性白斑や脱色素斑への移植を含めた再生医療。②メラノサイトが癌化した悪性黒色腫の機序解明に使用し、重要因子の発見と有意義な治療法の開発。③美白化粧品の主成分である様々な物質のメラノサイトへの効果を検証する美白化粧品開発に利用。
著者
松岡 晃弘 矢島 健司 渡部 秀憲 川上 民裕 相馬 良直
出版者
医学書院
雑誌
臨床皮膚科 (ISSN:00214973)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.98-101, 2008-04-10

要約 シクロスポリン内用液含嗽療法は,扁平苔癬や天疱瘡による難治性口腔内病変に対して,その有効性が報告されている.筆者らは,78歳の女性の天疱瘡患者の,ステロイド内服治療に抵抗する口腔内病変に対し,ネオーラル®内用液含嗽療法を行い,その良好な治療効果を確認した.含嗽時に口腔内灼熱感と疼痛がみられたが,粘膜症状の改善とともに軽減した.その他の副作用はなく,シクロスポリンの血中濃度も測定感度以下であった.シクロスポリン内用液は天疱瘡に対する保険適用がなく,含嗽という投与形態も認められていないため,天疱瘡に対するシクロスポリン内用液含嗽療法は安易に行ってよい治療法ではない.しかし,適切に使用すればほとんど副作用はなく,高い効果が期待できることから,ステロイド増量や免疫抑制薬内服が困難な患者に対しては,十分なインフォームド・コンセントを得たうえで,試みてもよい治療法であると思われた.
著者
松岡 摩耶 門野 岳史 松浦 佳奈 北澤 智子 川上 民裕 相馬 良直
出版者
学校法人 聖マリアンナ医科大学医学会
雑誌
聖マリアンナ医科大学雑誌 (ISSN:03872289)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.213-220, 2017 (Released:2017-03-28)
参考文献数
8

2005年1月から2015年12月までの11年間に当科で病理組織学的に皮膚悪性腫瘍と診断した680例について統計的検討を行った。男性348例,女性332例で男女差はみられなかった。疾患別では,基底細胞癌214例,Bowen病129例,有棘細胞癌98例,日光角化症91例,悪性黒色腫87例,乳房外Paget病40例であった。過去に報告された他施設における統計と比較検討したところ他の地域がん拠点病院と類似する疾患分布であった。悪性黒色腫は集学的な治療が必要となるため,各施設の症例数に差がみられた。今後,免疫チェックポイント阻害薬の出現により,治療施設の一層の集約化が行われると考える。