著者
小熊 進之介 丸山 啓太 澤井 伶 中野 航平 河野 博
出版者
東京海洋大学
雑誌
東京海洋大学研究報告 = Journal of the Tokyo University of Marine Science and Technology
巻号頁・発行日
vol.18, pp.1-19, 2022-02-28

2018年4月から2019年11月に千葉県新浜湖において小型地曳網と張網を用いて採集したニクハゼの出現様式,機能発育,および食性を調査し,干潟域におけるニクハゼの初期生活史を明らかにした.本研究では853個体のニクハゼが採集された.発育段階は,遊泳関連形質に基づくと4段階,摂餌関連形質に基づくと3段階に分けられた.消化管内容物調査の結果,体長13 mm未満の個体は浮遊性カイアシ類,体長13.0–23.9 mmでは浮遊性カイアシ類と多毛類,体長24.0 mm以上では様々な動物プランクトンやチチブ属の仔魚を主に摂餌することが明らかになった.また,岸側と沖側で採集されたニクハゼの個体数の違いから,新浜湖の干潟域では仔魚は岸側で成育し,成長に伴って岸側に加えて沖側も利用することが明らかになった.さらに,本種は東京湾内湾の干潟域の中では高塩分環境を好むと考えられた
著者
澤村 直輝 中野 航一郎 内田 祐司 高力 俊策
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.615-619, 2022-06-30 (Released:2022-06-30)
参考文献数
10

市販薬であるトラベルミン®(ジフェンヒドラミンサリチル酸塩とジプロフィリンの合剤)による急性中毒は近年国内でも症例報告が散見される。うつ病の既往がある34歳男性が痙攣と意識障害で発見され,隣にトラベルミン® 120錠分の空箱(ジフェンヒドラミン換算3,100mg)を認め救急搬送された。来院時はGCS 3点(E1V1M1),瞳孔散大,眼球クローヌス,口腔内乾燥,心電図で右脚ブロック波形と頻脈を認めた。トライエージDOA®でフェンシクリジンが陽性であった。人工呼吸器管理,活性炭投与,炭酸水素ナトリウム投与,20%脂肪乳剤の投与を行い,血液透析を施行した。数時間後には心電図は正常化し第2 病日には意識レベルも改善した。横紋筋融解を合併したが軽快し,第9病日に独歩で精神科へ転院となった。トラベルミン®中毒の報告はまだ多くないが入手は簡単で,インターネットの自殺サイトで取り上げられることもあるため今後も増加が予想される。救急医療に携わる者にとって多彩な臨床所見や治療法の知識を深めることが重要である。
著者
中野 航基 澤田 秀之
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.62, no.10, pp.1737-1747, 2021-10-15

シャボン膜に音波を照射すると,表面張力波が発生する.本稿ではこの現象を利用した音波の可視化と,音楽を視覚的に理解し楽しむための新しい手法を提案する.本稿では,シャボン膜上に生じる表面張力波の理論的考察をもとに,音の可視化実験から得られたデータと理論値とを比較,考察する.また,シャボン膜を撮影した映像から,膜に照射された音波の音高周波数を自動的に認識するアルゴリズムを実装し,実験により有効性の検証を行う.
著者
中野 航 佐々木 広大 野村 健人 石川 恭平 濱田 七々美 古橋 秀成
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.139-143, 2022 (Released:2022-09-23)
参考文献数
12

去勢雄,9歳齢のトイプードルが疼痛を伴う四肢の肉球の紅斑およびびらんを主訴に当院を受診した。臨床および病理組織学的検査により,肝臓の空胞状変性を伴う壊死性遊走性紅斑(肝皮症候群)と診断した。治療としてプレドニゾロン,亜鉛補給,肝庇護療法,卵黄の給餌およびアミノ酸輸液を行なった。症状は一時的に改善したが,貧血,糖尿病,細菌感染などを伴って第207病日に死亡した。治療期間中の血中総分岐鎖アミノ酸(BCAA)およびチロシン濃度をモニタリングし,その意義を検討した。