著者
村上 義隆 滝沢 実 内田 忠夫 中野 英一郎 大貫 武 堀之内 茂 坂田 公夫
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発報告 (ISSN:13491113)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1-60, 2004-10

航空宇宙技術研究所(NAL)の次世代超音速機技術研究開発プロジクトは平成9 年に開始し、ロケット打ち上げ式の小型超音速無推力実験機NEXST-1(以下、ロケット実験機)の詳細設計は平成12 年3 月に完了した。その後実験機およびNAL735 ロケットブースターの製作ならびに地上試験を経て、平成13 年11 月30 日に完成した。飛行実験は平成14 年3 月から約1 年間、南豪州ウーメラ実験場内で4 回実施する計画であったが、平成14 年7 月14 日第1 回飛行実験はロケットブースター点火直後の実験機異常分離によって失敗に終わった。この結果、実験システムは通信系を含めて見直す事になったが、本報告はオリジナルの設計および試験ならびに第一回飛行実験を通じた運用実績についてとりまとめたものである。ロケット実験機の通信系統は(1)飛行追跡用のレーダ・トランスポンダ系、(2)データ伝送用のテレメータ系、(3)非常飛行停止用のコマンド系の以上3 つの通信系システムで構成されている。設計は、ウーメラの実験場環境を考慮しており、アンテナパターン試験および噴煙損失を考慮した電波リンク解析によって事前評価した。また現地における地上確認試験にも触れた。
著者
堀之内 茂 大貫 武 吉田 憲司 郭 東潤 徳川 直子 滝沢 実 進藤 重美 町田 茂 村上 義隆 中野 英一郎 高木 正平 柳 良二 坂田 公夫
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発報告 (ISSN:13491113)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1-162, 2006-03
被引用文献数
1

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は航空宇宙技術研究所(NAL)の時代から次世代超音速機技術研究開発プロジェクトを開始し、ロケットにより打ち上げる無人の小型超音速実験機(NEXST-1;以下ロケット実験機)の開発と飛行実験を行った。実験機の空力形状はJAXAが開発したCFDコードにより設計されており、飛行実験の目的はその実証にある。基本設計は平成9年度から開始し詳細設計、維持設計を経て平成13年度に実験機システムが完成した。平成14年7月にオーストラリアのウーメラ実験場で第1回飛行実験を実施したが、打上ロケットのオートパイロットの不具合により実験は失敗に終わった。その後、信頼性向上ための改修を行い、平成17年10月10日に第2回飛行実験を成功裏に完了した。本報告書は研究開発プロジェクトの概要と第1回飛行実験にいたる設計の結果、及び地上での確認試験の結果についてまとめたものであり、補足として、第1回飛行実験の状況、その原因調査、及び対策検討の結果にも触れた。改修設計の結果、及び第2回飛行実験のフェーズについては別途報告書がまとめられる予定である。
著者
寺本 吉輝 中野 英一
出版者
大阪市立大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2003

広い範囲に降ってくる宇宙線を観測するための宇宙線観測ネットワークを構築した,観測装置は4台のシンチレーション検出器がら構成されるものを学校や科学館の屋上に置き,そこで検出された宇宙線空気シャワーをパソコンに取り込み,インターネットで大阪市立大学のサーバーに送って,そこから各サイトに観測データを配送するシステムを作った,これを連続的に稼動させて長期連続観測を始めた,いままで高校のネットワークはファイヤーウォールにさえぎられ,高校からデータを発信することが出来なかったが,大学にハイパーテキストトランスポートプロトコル(HTTP)のサーバーを置いてこれに対して高校側から交信することにより,高校からデータ発信が出来るようになった.宇宙線がこの装置で検出される頻度は各サイトあたり1分間に3現象程度であるので,全部のサイトを合わすと1年間に1000万現象ほどになる.現在までに取ったデータを解析した結果,ネットワークを通してデータ収集してもバイアスなくデータが取れていることが確認された.また2つのサイトで同時にくる現象を調べたところ,現在の統計精度では明確な現象の過剰は見られない.3つのサイトで同時にくる現象については,姫路高校と大手前高校と科学館に来た宇宙線現象のなかに1ミリ秒以内に来たものがあり,これはランダムに宇宙線が来ると仮定した場合よりも統計的に有意に多い,今後観測をつづけて統計的有意性をさらに高めたい.高校生の理科への興味を高めるための活動としては,高校への訪問・講義,高校の文化祭への出展,などを行った,高校での主な活動は科学クラブによるものである,また総合教育のテーマにも取り上げていただく予定をしている.また,高校の科学クラブが活動の一環として,大学と共同で宇宙線観測を行っていること自体が高校生にとって励みになると考えられる.現在の装置は値段が高いので,将来に向けて値段の安い装置を作る開発をはじめた.特にシンチレージョン検出器は高いので,これにかわる高抵抗板検出器を試作して,これが実用的に使えるかテストしている.この開発での最大の問題はガス封入型高抵抗板検出器の寿命である.現在までのところ1年程度は問題なく使えている.
著者
村上 義隆 多田 章 滝沢 実 中野 英一郎
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発報告 (ISSN:13491113)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.1-66, 2007-03

小型超音速実験機NEXST-1(以下,ロケット実験機)の第2回飛行実験は,平成17年10月10日早朝,南オーストラリア州ウーメラの実験場で実施され,CFD検証データ取得を始め全てのミッションを達成して飛行実験は成功した。 ロケット実験機の通信系統は,機上と地上を一対の通信系として,飛行データ伝送系のテレメータ装置,非常指令系のコマンド装置,飛行追跡系のレーダ・トランスポンダ装置の3つの通信系で構成されている。本研究開発報告書においては,第2回飛行実験における各通信系の改良設計およびシステム改修について,飛行実験前にオーストラリアARA社の小型飛行機を用いて実施した各通信系装置の機能確認飛行試験の結果について述べ,最後にロケット実験機の飛行15分22秒間で得られた各通信系受信信号強度指示値(RSSI)と回線設計値の解析・比較を行い,通信系統設計の妥当性ならびにIMUと追跡レーダの測位を比較した結果について報告する。実験機は背面状態でロケットブースタにより打ち上げられる。本回線設計の検証評価ではロケット噴煙損失モデルの妥当性についても触れた。