著者
上田 昌宏 安原 智久 串畑 太郎 栗尾 和佐子 曽根 知道
出版者
一般社団法人 日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
pp.2020-059, (Released:2021-01-29)
参考文献数
6

COVID-19の影響により対面授業が大きく制限され,すべての科目において学習方略の変更を余儀なくされた.本学は,コミュニケーションを育む上で特に重要な時期である1年次,4年次に,small group discussion(SGD)を伴う科目を多く設定している.そのためSGDを実施しない選択は,コミュニケーション能力を醸成する機会を失い,教育効果に大きな影響を与えると考えられる.そこで,複数の科目において,オンラインSGDを試みたので,その運用方法や方略を記す.さらに,ピア評価から得られた結果から,評価基準が発言頻度に大きく依存し,非言語コミュニケーションは評価の対象になる程には発揮されなかったものと推測される.SGDの本質的な役割は,非言語を含んだコミュニケーションを通じての問題解決能力を養うものである.詳細な検証を行えていないことに留意しつつも,本質的な意味でのオンラインSGDがもたらす教育効果は,対面でのSGDと同等なものになりえないものと考えられる.
著者
青江 麻衣 朴 炫宣 安原 智久 串畑 太郎 上田 昌宏 永田 実沙 江﨑 誠治
出版者
一般社団法人 日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.2020-029, 2020 (Released:2020-12-25)
参考文献数
12

大阪大谷大学で,薬学生にとって基本となる50個の化合物を題材とした構造式かるたを作成した.その「かるた」を活用し,薬学部初年次学生を対象に,学習に対する動機付け及び有機化学の基礎となる事項の理解や知識の定着につながるよう学習方略を立案・実践し,試験とアンケートにより評価した.アンケート結果を用いたクラスター分析より,学生は4つのクラスターに分けられた.また,自由記述について,各クラスターを目的変数として対応分析を行った結果,化学を好きと評し,「かるた」への興味をもつ傾向にある成績上位群では「復習-新しい-知識」,化学を嫌いと評する傾向にある成績下位群では「構造-覚える」などの抽出語との関連が確認された.これより,本方略を知識定着への手段とした群や「かるた」の内容の短期記憶の手段とした群などを見出すことができ,成績下位群ほど,短期記憶に頼る傾向がみられることが明らかとなった.
著者
安原 智久 串畑 太郎 永田 実沙 岩田 加奈 曽根 知道
出版者
一般社団法人 日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.2020-021, 2020 (Released:2020-12-19)
参考文献数
18

6年制薬学教育では研究能力の養成が求められているが社会調査研究に関してはほとんど行われていない.我々は将来の就職先に関わらず臨床上の問題を抽出し,適切な測定と統計解析の実践による研究ができる薬剤師の養成を目指し,基礎的な知識・理解を担保するチーム基盤型学習(TBL)と自由度の高い問題解決型学習(PBL)を共存させたハイブリッド型演習プログラムを構築した.学生の演習への意欲を高めるため,本演習はARCSモデルによる教育デザインを行い,自分たちを対象としてテーマを自由に設定し,アンケートを自作し実際に調査するという実践(Does)を行った.演習終了後に行ったアンケートからは,本演習に対して肯定感の高い層は,評価の追求や競争心の有無に関わらず,将来の研究や学会発表に対して高い関心を示した.本演習が,社会調査研究を担う能力を有する薬剤師の養成という目的を達成する可能性のある教育プログラムであることが示唆された.
著者
安原 智久 臼井 晴香 木下 淳 安田 素子 串畑 太郎 上田 昌宏 永田 実沙 曽根 知道
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.142, no.10, pp.1115-1123, 2022-10-01 (Released:2022-10-01)
参考文献数
17
被引用文献数
1

There is a need for pharmacists to be actively involved in home healthcare through a wide range of collaboration in healthcare and welfare. However, insufficient evidence is available to search for factors that prevent pharmacists from being proactive in home healthcare. In this study, we conducted an extensive questionnaire survey among pharmacists engaged in home pharmacy work who belong to the Hyogo Pharmaceutical Society regarding the current status of pharmacists' work in home medical care and their psychological burden; we also explored the factors that may hinder the future development of home medical care. As a result, 925 (44%) valid responses were obtained, and seven factors— “current multidisciplinary cooperation”, “relationships with patients and their families”, “emotional burden for home healthcare”, “attitude toward patients”, “ideal of multidisciplinary cooperation”, “anxiety about aggressive intervention”, and “anxiety about talking to and dealing with patients”— were extracted. Furthermore, it was suggested that pharmacists' mental burden and anxiety are closely related to their successful experiences in building relationships with patients and patients' families as well as with multidisciplinary cooperation in home healthcare. Therefore, to train pharmacists to be actively involved in home healthcare, it is important not only to impart knowledge and skills but also for them to gain experience practicing their contributions as pharmacists in the field of home healthcare with multiple professions, patients, and patients' families.
著者
上田 昌宏 山田 諒 串畑 太郎 永田 実沙 栗尾 和佐子 安原 智久 曽根 知道
出版者
一般社団法人 日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.2020-028, 2020 (Released:2020-10-31)
参考文献数
10

学習方略の適切な設定は,効果的な教育を行う上で必須であるが,方略を比較,検証した研究は少ない.今回,防災に対する意識を涵養するため,シミュレーション(HUG)と講演を組み合わせた学習プログラムをデザインしたが,学習環境の制限により,方略の順序が異なる2クラスでの実施となった.本研究では,順序違いが学習効果に及ぼす影響を検証した.プログラム前後に防災に関するアンケート調査を実施し,Fisherの正確確率検定を行った.その結果,HUG先行群では,災害現場での行動に自信を持ち,上位年次での災害研修への参加意欲につながることが示され,講演先行群では,災害支援への意欲が向上することが示唆された.どちらの方略でも,受講者が災害医療を考えるきっかけとなり,被災地の様子をイメージできることが示された.1回の測定だが,学習効果に違いが出たことから,学習目標に合わせた方略をデザインし,教育を行う必要があることが示唆された.
著者
安原 智久 串畑 太郎 上田 昌宏 栗尾 和佐子 曽根 知道
出版者
一般社団法人 日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
pp.2020-058, (Released:2021-01-29)
参考文献数
4

新入生は,単に学力的な教育をうけるだけではない.高校生から大学生への転換を自覚し,自律的な学習活動姿勢を身に着けていく過程である.ディスカッションやプレゼンテーションなどの能動型学習へ挑戦し,成功体験を得ることで積極的な学習習慣を育んでいく期間である.この期間の教育は,新入生の大学への印象を大きく左右する.自らの大学への帰属意識や満足感を持つかどうかは,この時期に提供される教育の質に大きな影響を受けると考えられる.入学直後に学生が持つ学部への印象は,学習への取り組みを高次学年に及ぶまで左右する要因になり得る.以上,新入生へ入学後に提供する教育は,単なる基礎学力の養成だけではなく,薬剤師を目指す学習意欲を育むうえで極めて重要となる.COVID-19の影響により,新入生が経験するはずであった学習面以外での大学からの支援が,基本的にすべてオンラインとなった環境でどのように展開していったかを記していく.