- 著者
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内嶋 善兵衛
大島 康行
浦部 達夫
吉川 友章
丸山 隆司
清野 豁
OHKITA Takeshi
大北 威
- 出版者
- お茶の水女子大学
- 雑誌
- 総合研究(A)
- 巻号頁・発行日
- 1989
人為的な環境変化,とくに温室効果ガスによる気候温暖化と放射能汚染とに焦点をしぼって,気候変化と自然植生・作物生産および原爆・原子炉事故による放射能汚染の広がりを3年間わたって研究した。その結果は次のように要約できる。1.水田水温環境への気候温暖化の影響は顕著で,現在より2〜4℃高まり、安全移植期は2週間早まることが分かった。水温上昇により水面蒸発は気温上昇あたり3〜6%増加し,温暖化気候下(2100年頃)では10%以上蒸発が増大する可能性がある。2.作物収量へのCO_2直接効果と気候温暖化の影響を評価するため,作物モデルと気候シナリオを利用した。イネは現行農法下では減収となるが、早生品種導入を試みると増収が予想され,増収率は北日本で大きくなった。トウモロコシ・コムギは降水変動の影響が大で,灌がいを施すと増収する。3.植生分布へのCO_2気候温暖化のインパクトを評価し,低温地帯の植物種に好適な気候域の急減することが分かった。暖地系植物にとっての好適気候域は4〜6km/年の速度で北上すると予想された。この移動速度は花粉分析からの植物移動速度の5〜10倍で,温暖化による植生分布の混乱が予想される。4.原子爆弾・原子炉事故による放射能汚染域の推定に拡散研究用数値シミュレ-ションモデルを用いた。広島・長崎原爆による汚染評価に,熱対流雲モデルを用いて,1kmメッシュ上での微粒子落下,ショック麈,火災煙からの被曝量を個別に評価した。最大の被曝総量は12時間後に,13R/hrとなった。チェルヴィリ原子炉事故による放射能広域拡散の研究に,広域拡散モデルを用いて,その有効性を確認した。