2 0 0 0 OA 陽子線治療

著者
稲田 哲雄
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.28-39, 1989-01-15 (Released:2010-07-21)
参考文献数
11
著者
稲田 哲雄
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.412-417, 1983-05-10 (Released:2009-02-09)
参考文献数
7

中性子線によるがん治療に続いて,陽子線治療およびその診断が医学に導入されつづある.中性子線の高い線エネルギー付与 (LET) による生物効果の期待に対して,陽子線はその線量分布の局在姓に着目される.診断においては,従来のX線によって認めえなかったわずかな体内密度変化が,陽子線撮影によって検出される.しかし,物理実験装置である大型の加速器を病院内に設置し,医療照射を行なうためには適切な制御システムが必要であり,今後なお,開発,改善すべき要素が多い.
著者
大谷 幹伸 宮永 直人 野口 良輔 小磯 謙吉 辻 比呂志 有本 卓郎 稲田 哲雄 北川 俊夫 辻井 博彦 田中 良典 鳶巣 賢一 垣添 忠生
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.82, no.5, pp.821-825, 1991-05-20

C3H/He雌マウスに対し,0.05%のN-Butyl-N-(4-Hydroxybutyl)nitrosamine(BBN)を飲料水として18週間与えた.19週目に11頭のマウス(第3群)を屠殺して,全てに膀胱癌が発生していることを確認した.残りのマウスは二つの群に分け,第1群は骨盤全体に20Gyの陽子線を照射した.一方第2群は,照射を行なわない対照群とした.照射の3週間後全てのマウスを屠殺し,膀胱を切除した.膀胱はホルマリン固定後に重量(≒癌の重量)の測定と,組織学的検索を行なった.膀胱の平均重量(≒癌の重量)は,第1群で67.7mg,第2群で120.6mg,第3群で106.5mgであって,第1郡との間にそれぞれ有意な差が認められた(p<0.05).また表在癌(pT1)と深部浸潤癌(pT2〜3)の頻度は,第1群で10/18(56%)と8/18(39%)であった.また第2群のそれは,3/17(18%)と14/17(82%),第3群のそれは2/11(18%),9/11(82%)であった.第1群と2群問に有意な差(p<0.05)が認められた.しかし第1群と第3郡との差は有意ではなかった(p=0.068).これらの結果はマウスの膀胱癌に対して,陽性線照射が有効な治療法であることを示唆している.