著者
金 外淑 村上 正人 松野 俊夫 釋 文雄 丸岡 秀一郎
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.439-444, 2016 (Released:2016-05-01)
参考文献数
10
被引用文献数
2

線維筋痛症は身体症状の複雑化とともに, 怒り, 不安, 抑うつなど多岐にわたる心理的状態をきたすため, 心理的支援に限らず, 種々の専門科の専門性を生かした適切な支援の充実が必要とされている. 本研究では, 線維筋痛症患者特有の痛みが起こる状況を取り上げ, これまでの調査, 臨床での実践研究を通して得られた知見をもとに, 痛みが起こる諸要因の動きに着目し, 患者個人に応じた支援を充実させる心理的支援の方策を探った. その結果, 痛みが起こる背後に隠れている複数の要因を4つのタイプに分類し, それをもとに心理的支援の新たな基盤づくりを試みた. また, 患者が訴える痛みの強度や頻度に意識を向けるだけではなく, 痛みと向き合える心身の健康づくりや, 家族面接を契機に痛み症状の改善につながった例を取り上げ, 臨床の実際について提言した.
著者
金 外淑 松野 俊夫 村上 正人 釋 文雄 丸岡 秀一郎
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.327-333, 2018 (Released:2018-05-01)
参考文献数
7

慢性痛のセルフマネジメントに有効とされる認知行動療法を取り上げ, 線維筋痛症患者に対する多元的な視点による痛みのアセスメントと, 痛みの変化や今ある痛みと上手に付き合うための支援について述べた. また, 地域での新しい取り組みとして, 痛みで困っている患者やその家族を対象とした, 心理教育を中心とするセルフヘルプ支援をグループで学ぶ認知行動療法を試みた. 4つの地域での自由記述と予備調査の結果, 患者と家族間の考え方のズレや葛藤が読み取れ, さらに痛みが起こりやすい考え方や行動タイプなどの共通点が推測された. 特に慢性痛に現れやすい痛み関連行動が起きやすい内的・外的状況を把握し治療環境を整えることが, 今後起こり得る痛み行動の予防につながることも再認識できた. 最後には, これらの結果を踏まえ, 症例でみる痛み関連行動が起こる前後の状況に応じた支援の実際について報告した.
著者
丸岡 秀一郎 釋 文雄 村上 正人
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.317-321, 2016

気管支喘息 (以下, 喘息) の病態形成には, 遺伝因子と環境因子が深く関与している. 環境因子の一つとして心理社会的ストレス (以下, ストレス) がある. ストレスがどのように呼吸器疾患の発症機序に影響を及ぼしているのか依然不明な点が多い. 近年, エピジェネティクスという学問領域が注目されている. DNAメチル化, ヒストン修飾, ノンコーディングRNA (non-coding RNA : ncRNA) などにより遺伝子の暗号を変化させることなく, 疾患関連遺伝子の発現調整をするシステムであり, 環境因子 (ストレスなど) によりエピゲノムに修飾が起こり, 疾患の表現型決定に影響し, さらに世代を超えて保存される. 本稿では, ストレス誘導性エピゲノム修飾について総括し, 呼吸器心身症の代表である喘息の病態形成について考察する.
著者
丸岡 秀一郎 村上 正人
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.130-135, 2013-02-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
28

アレルギー疾患の代表的疾患である気管支喘息は,さまざまな環境因子の影響を受けている.ハウスダストダニ抗原やゴキブリ抗原などに代表されるアレルゲンだけではなく,抗原性をもたない環境因子(細菌,オゾン,ディーゼル排気粒子,ウイルス感染,煙草など)も,その免疫賦活作用(アジュバント効果)により病態形成に関与していることが知られている.環境因子を介するエピジェネティクスは心理社会的ストレスも加味されてアレルギー性気道炎症を惹起して気管支喘息の発症に関与しているとされる.心身医学的側面については過去に多くの研究がなされてきたが,いまだその詳細なメカニズムについては不明な点が多い.本稿では,最新の文献をもとに環境ストレスと気管支喘息発症のメカニズムについて心身医学的側面から考察する.
著者
深野 義人 宮澤 由妃 見越 大樹 井上 寿男 丸岡 秀一郎 黒田 和道 権 寧博 橋本 修 山岸 賢司
出版者
Society of Computer Chemistry, Japan
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.13, no.6, pp.332-334, 2015

To establish a system for the early diagnosis of respiratory diseases, we developed a method for analyzing RNA sequence data obtained by next-generation sequencer identify genes showing altered expression as biomarkers of respiratory tract infection. The respiratory tracts of mice were exposed to lipopolysaccharide to establish a model of respiratory disease. Twenty-five genes exhibited significantly altered RNA expression following exposure. We identified non-coding RNAs in five regions that could be candidate biomarkers of respiratory diseases.
著者
宮澤 由妃 深野 義人 見越 大樹 井上 寿男 丸岡 秀一郎 黒田 和道 権 寧博 橋本 修 山岸 賢司
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.13, no.6, pp.310-311, 2014 (Released:2014-12-31)
参考文献数
4

Next-generation sequencers (NGS) have made it possible to analyze entire genome sequence. NGS can be used for the identification of genes associated with a wide variety of diseases. We investigate RNAs encoded by intergenic regions to identify novel genes that are involved in respiratory diseases. The respiratory tracts of mice were exposed to lipopolysaccharide to establish a model of respiratory disease. RNA expression levels in the mouse exosome were analyzed by NGS to identify genes involved in the development of respiratory diseases. Several disease-related regions exhibited altered expression levels of intergenic RNAs.