著者
小倉 久幸 久保 峰鳴 武内 孝太郎
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.159-165, 2021-02-18 (Released:2021-04-14)
参考文献数
7

脳卒中後片麻痺患者の歩行機能の改善はリハビリテーション治療の重要な目標の1つであり,歩行評価に基づいた治療や訓練を展開する必要がある.しかし,観察による歩行分析は評価者の経験などによる評価のばらつきがあるために客観的指標が求められる.麻痺側立脚期の矢状面における膝関節制御に影響する床反力作用線のモーメントアームを,傾きによる成分と足圧中心と膝関節軸との距離による成分に分けて考えることにより,膝関節制御の面から短下肢装具の効果を明確化し,歩行訓練の治療戦略を具体化することができる.今後,客観的な評価方法によって片麻痺歩行を類型化し,適切な治療方法を導くシステムの確立が望まれる.
著者
廻角 侑弥 久保 峰鳴 福本 貴彦 今北 英高 藤井 唯誌 稲垣 有佐 田中 康仁
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.779-783, 2020 (Released:2020-12-19)
参考文献数
20

〔目的〕変形性膝関節症(膝OA)患者の歩行能力と自己効力感の関連性を検討することとした.〔対象と方法〕対象は膝OA患者67名とした.測定項目は,10 m歩行速度,Timed up and go test(TUG),自己効力感,疼痛,膝関節伸展筋力,足趾把持力,痛みの破局的思考とし,関係性を分析した.〔結果〕10 m歩行速度とTUGはそれぞれ,自己効力感,膝関節伸展筋力,足趾把持力,痛みの破局的思考との間に有意な相関関係を認めた.また,10 m歩行速度とTUGに影響する因子として,自己効力感と膝関節伸展筋力が抽出された.〔結語〕膝OA患者の歩行能力には歩行に対する自己効力感が影響することが示唆された.
著者
廻角 侑弥 久保 峰鳴 幸田 仁志 福本 貴彦 今北 英高 藤井 唯誌 稲垣 有佐 田中 康仁
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.61-65, 2020-07-22 (Released:2020-08-04)
参考文献数
17
被引用文献数
1

[目的]人工膝関節全置換術後患者の杖歩行が自立するまでの日数(歩行自立日数)に影響を及ぼす要因を術前項目より検討した。[対象]片側の人工膝関節全置換術を施行した99名とした。[方法]測定項目は歩行自立日数,自己効力感,痛みの破局的思考,安静時痛,歩行時痛,膝関節屈曲可動域および伸展可動域,等尺性膝伸展筋力,歩行速度とした。統計解析はピアソンの相関係数を用いて歩行自立日数との関係性を分析し,また歩行自立日数を目的変数,他項目を説明変数とした重回帰分析を行った。[結果]歩行自立日数は,自己効力感(r=-0.40),痛みの破局的思考(r=0.27),等尺性膝伸展筋力(r =-0.24),歩行速度(r=-0.25)との間に有意な相関関係を認めた。重回帰分析の結果,歩行自立日数に影響を及ぼす要因として自己効力感のみが抽出された。[結語]人工膝関節全置換術後の杖歩行の自立には筋力や歩行速度だけでなく,自己効力感が影響すると示唆された。