著者
松平 和也 小久保 幹紀
出版者
一般社団法人 情報システム学会
雑誌
情報システム学会 全国大会論文集 第7回全国大会・研究発表大会論文集 (ISSN:24339318)
巻号頁・発行日
pp.2-2, 2011 (Released:2020-05-25)

日本には情報参謀が育たなかったと信じられている。直近の太平洋戦争での情報戦は戦争開始前から負けていた。情報という言葉が明治初年に軍事用語として使われ始めた。そのため、一般の日本人にはなじみがないというのかもしれない。確かに太平洋戦争において、情報の活用は未熟であった。そのため、真珠湾奇襲からして、その奇襲により米国民の意欲を挫いてしまうという目的を達成できなかった。逆にルーズベルト大統領に外交暗号を解読されていて、“リメンバー・パールハーバー”という合言葉で、米国国民の日本への憎しみをあおられ、米国国民一丸となった参戦をはたした。しかも、“日本人はずるい”という言葉が戦争中流布された。誇り高い山本五十六大将は、この戦争開始時の米国への情報伝達について大変気にしていた。不思議なことに、山本大将自身は、司令部に情報参謀を配置しなかった。しかも、自分自身が米国の傍受網にかかり乗機が撃墜されて戦死した。戦後、米軍は日本の諜報技術をつぶさに調べて、陸海軍の一部情報参謀の優秀性を評価している。日本の陸海軍の情報参謀は、情報の無視と軽視の環境下でも地道に努力を継続し、劣勢の中で独特の工夫をしていた[1]。しかしながら、指導者に影響を与えられるだけの知識を有した国家的参謀を育てられなかったので戦争に負けたといえる。現在に至るまで、国家情報参謀は育てられていない。本論文では、日本人の情報活用能力が諸外国に比して遅れていたわけではないことを主張する。と同時に、日本の歴史上国家に貢献した参謀を見出し、彼らが如何に国家情報参謀足りえたかを、彼らの知識獲得の仕方、獲得した知識の分野などから学ぶ。これにより、今後、国家参謀を育成する上で、不足している教育分野を明らかにした。本論から、国家情報参謀育成の知識モデルを示す。国家が、進化的変革を達成しつつ持続的成長を実現するためには優れた人材を育て、その知識資源の有効活用によって、日本国家リーダが正しい意思決定を行うことで日本の政治経済力の一歩前進を期待するのである。
著者
久保 幹雄
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.59, no.10, pp.589-594, 2014-10-01

本稿では,実際問題であらわれる難しい最適化問題を短時間で解くための方法論について論じる.最適化プロジェクトを路頭に迷わせないためには,次々とクライアントから要求される付加条件や変更条件を柔軟に取り扱えること,修正が短時間で完了すること,可視化やデータ解析が容易であることが必要である.ここでは,単なる哲学ではなく,Python言語による具体的な実装例を用いてコツを伝授する.
著者
毛利 裕昭 久保 幹雄 森 雅夫 矢島 安敏
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
Journal of the Operations Research Society of Japan (ISSN:04534514)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.372-388, 1996-09
被引用文献数
6

配送路問題(Vehicle Routing Problem -VRP-)は、「デポ(配送拠点)から配送先のノードに商品等を配送する最小コストのルートを求める」という問題である。この問題は古くから研究がさかんに行なわれており、標準的VRPの基本的な条件としては、以下のものが挙げられる。第1に1つのルートでの積載量が車両の容量を超えないこと、第2に車両数(ルートの数)が上限を超えないこと、第3に配達先のノードは1台の車両で1度だけ配送が行なわれること等である。本論文ではVRPの基本条件である第3の条件を緩和した「分割配送路問題」と呼ばれる複数の車両によるノードの配送を許す問題を考える。このような条件を考えることにより車両の積載効率が上り、必要な車両の数(固定費用)を減少させる可能性が高まる。この分割配送路問題に関する研究は少なく、本論文では新たな定式化を行ない、Fisher and Jaikumarのアイディアにしたがって問題を、車両が配送を行なうノードおよびその配送量を決定する問題と担当ノードが決定した段階で各車両の配送経路を決定する問題に分解することにより数理計画べースの新たな解法を与えている。