著者
横山 浩之 廣瀬 三恵子 奈良 千恵子 涌澤 圭介 久保田 由紀 萩野谷 和裕 土屋 滋 飯沼 一宇
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.431-435, 2009 (Released:2016-05-11)
参考文献数
20
被引用文献数
1

「指示待ち」はすでに獲得された日常生活行動をスモールステップな指示があるまで待つ状態である. 中等度以上の知的障害を伴う自閉症があり, 「指示待ち」を呈した9症例を検討したところ, 全例で大うつ病エピソードを満たし, 気分障害の合併と診断し得た. 9症例のうち7症例でfluvoxamineが「指示待ち」を含めた抑うつ状態に有効であった. 無効例ではrisperidoneやvalproate sodiumが有効であり, これらの症例が双極II型障害である可能性がある. 「指示待ち」は気分を言語表現できない自閉症がある児 (者) にとって, 抑うつ状態の症状であり, 診断上有用と考えられた.
著者
菅原 典子 山村 菜絵子 高橋 安佳里 田澤 星一 久保田 由紀 小澤 恭子 浅田 洋司 田中 佳子 永野 千代子
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.30-36, 2018 (Released:2018-04-15)
参考文献数
15

マイコプラズマ肺炎を疑われ,小児における用法・用量の範囲内のトスフロキサシン(tosufloxacin: TFLX)を内服中に血清クレアチニン(creatinine: Cr)値上昇を来した7 例(4~13 歳)の臨床経過を検討した。4~7 回の内服後に血清Cr 値上昇に気づき,内服中止にて回復傾向を認めた。4 例が急性腎障害の診断基準を満たした。4 例で腹部症状を合併したが,内服中止2 日以内に症状は消失した。1 例は腹痛時にコンピューター断層撮影法での小腸壁の肥厚と磁気共鳴画像での腹水貯留を呈した。既報においても腹部症状を合併する例が多いが,その機序や血清Cr 値上昇との関連は不明である。TFLX による血清Cr 値上昇はcast nephropathy がその成因と想定されており,既報では小児における用法・用量を逸脱した内服が行われていたが,本検討の7 例は規定の範囲内での内服にも関わらず血清Cr 値上昇を来した。今後血清Cr 値上昇や腹部症状の発症機序が明らかとなり,より有効かつ安全にTFLX が使用されることが期待される。
著者
菅村 真由美 今村 明秀 久保田 由紀子 宮城 司道 福崎 勉 加藤 寿彦 森園 哲夫 堤 正則 中川 尚志
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.163-167, 2007-05-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
13

海綿状血管腫は比較的まれな疾患とされていたが、MRI導入以来発見されることが多くなった。初発症状としては、てんかん発作、けいれん、頭痛などが多い。今回、われわれは脳幹部の海綿状血管腫の出血が原因でめまいを発症したと思われる成人男性症例を経験したので報告する。症例は53歳、男性で主訴はめまい、嘔気であった。初診時は末梢性の頭位めまいと診断された。発症後6日目に左注視障害、瞳孔不整が出現したため、MRIを施行したところ、脳幹部海綿状血管腫と診断された。本症例のめまいは、延髄海綿状血管腫に起因する出血により生じたものと考えられた。