著者
マンギタ ワンナ ピンカウ プラパパン カチョンパドングキッテイ ヨンサク 大沢 良 久島 繁
出版者
日本植物工場学会
雑誌
植物環境工学 (ISSN:18802028)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.89-95, 2007-06-01
参考文献数
30

ソバ植物の種内雑種植物体の試験管内での交雑育種を検討した.圃場での良好な組み合わせであるキタワセソバと福井在来ソバを用い,試験管内で誘導したキタワセソバ( 母方,秋型) の花芽に,ポット栽培福井在来ソバ( 父方,夏型) の花粉を試験管内人工授粉させ,受粉花芽・胚珠を培養して試験管内再生植物の育成を試みた.培養体をココナッツミルクを含む培地で培養することにより,飛躍的に試験管内第2 世代植物の再生率が高まり,連続的な試験管内世代交代が可能となった.<BR>得られた再生植物体はザイモグラム,RAPD,数種の形態および農業形質から雑種と判断された.<BR>バッククロスを3 回繰り返し,母方形質を理論的に94% 持つキタワセソバ個体を育成した.初回の交雑と3 回のバッククロスを終了するまでに掛かった期間は240 日であった.試験管内での第2 世代植物体形成期間(1 世代期間に相当) は55 ~ 60 日で,試験管内世代交代期間は圃場のそれより速いと考えられた.試験管内再生植物の大量迅速育苗による系統確立は可能と考えられた.
著者
久島 繁 渡辺 恒夫 新井 勇治 THORPE Trevor A.
出版者
日本植物細胞分子生物学会
雑誌
植物組織培養 (ISSN:02895773)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.52-58, 1985

ラクトース適応のメカニズムを検討するため, アサガオの非耐性および耐性培養株を用いて, いくつかの検討を行った. 両接細胞にラクターゼ, UDP-ガラクトースピロフォスフォリラーゼ, UDP-グルコースピロフォスフォリラーゼおよびUDP-ガラクトースエピメラーゼ活性は存在した. それゆえ, 非適応細胞も潜在的にはラクトース代謝能を持つものと思われた. しかし, この細胞ではUDP-ガラクトースエピメラーゼ活性は極めて弱く, 細胞壁結合型ラクターゼ活性は適応細胞のそれの約30%であった. ラクトース適応細胞をラクトース培地で培養した場合, 培養期間を通じて細胞内グルコース含量は低く, ガラクトース含量は高かった. それゆえ, これらの細胞はガラクトースよりグルコースをプレファレンシャルに利用するものと思われる. ガラクトースに培養した非適応細胞のG-6-P, G-1-PおよびGal-1-Pの含量はショ糖で培養したそれの約3倍であった. また, UDPGおよびUDP galの含量はショ糖で培養した場合のそれぞれ約1.5倍, 僅増であった. それに比して, ガラクトース培養非適応細胞のG-6-P, G-1-P, Gal-1-Pの含量はショ糖培養のそれの約2倍となっており, ガラクトース培養適応細胞のそれより約20%低かった. この事は適応細胞が非適応細胞に比して大きなガラクトースおよびラクトース代謝能を持っている事を示唆している. これらの結果に基づきラクトースおよびガラクトースの阻害とそれに対する適応について論議した.
著者
カチョンパドンキッテイ ヨンサック マンキタ ワンナ ラムチャトゴオエン スポット 長谷川 宏司 久島 繁
出版者
JAPANESE SOCIETY OF AGRICULTURAL, BIOLOGICAL AND ENVIRONMENTAL ENGINEERS AND SCIENTISTS
雑誌
植物工場学会誌 (ISSN:09186638)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.98-101, 2003-06-01
被引用文献数
2 5

ソバの試験管内交雑育種が可能かどうか検討した.試験管内種子発芽体から切除したシュートから誘導された花芽の子房と花粉および圃場植物由来の花芽の子房と花粉を組み合わせて掛け合わせた.試験管内花芽由来子房と圃場花芽由来花粉を掛け合わせると, 組み合わせの2%で第2世代植物が試験管内で得られた.試験管内で誘導された花芽原基を試験管外に引き出し開花させ, 人工受粉させたところ, 正常な受粉が起こり, 試験管内花芽由来子房と花粉の試験管内受粉率の低い原因として, 培養環境が生殖機能を低下させる可能性が考えられた.試験管内第2世代植物は試験管内大量増殖が可能で, 品種あるいは系統確立までの育種操作が試験管内で実証された.圃場で栽培した試験管内第2世代植物は交雑可能で生殖能の正常な植物と考えられた.また, 第2世代植物からの試験管内花芽の誘導および圃場花芽由来花粉との試験管内交雑も可能で第3世代植物が得られ, 継続的な試験管内交雑が可能と考えられた.試験管内での植物の交雑育種について言及した.