著者
嶋倉 邦嘉 長島 裕二 塩見 一雄 久能 昌朗 海老澤 元宏 赤澤 晃 飯倉 洋治
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.522-529, 2003
被引用文献数
4

食物負荷試験(FPT)は食物アレルギーの重要な診断法の一つであるが, FPT用の標準抗原は開発されていない.本研究では,5種類の食物(牛乳,鶏卵,鶏肉,大豆および小麦)からスプレードライ法またはフリーズドライ法により粉末を製造し,FPT用抗原としての有用性をin vitroで調べた。SDS-PAGEでは,各粉末およびその原料の抽出液は同じまたは類似した泳動パターンを示した.食物アレルギー患児の血清を用いたELISAで分析したところ,各粉末抽出液の反応性と原料抽出液の反応性との間には良好な相関(r=0.853-0.978)がみられた。さらに,牛乳,鶏卵および大豆では,粉末抽出液および原料抽出液を固相化抗原として用いても阻害剤として用いても,ほぼ同じELISA阻害曲線が得られた.これらの結果から,各粉末は原料と同じアレルゲンを同レベルで含み,FPT用抗原として有用であると判断された.なお,粉末のアレルゲン性は-20℃または5℃貯蔵では18カ月以上安定であることも判明した.
著者
久能 昌朗 神岡 太郎
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
pp.NSKKK-D-22-00092, (Released:2023-02-10)

社会の持続性と人類のWell-beingの危機に向かい合うことは「社会の共通善」となり, それらの解決策は「顧客価値」になり, 企業の研究開発の対象となってきている. つまり, 社会課題を解決することが, 投資回収の対象にできるようになってきている. この機会に食品領域の産官学の研究開発が「経済性と社会性の両立」を狙いどころとして, 社会課題の解決のために協働を進めていけば, 我が国の食品産業は, 持続的成長のための新しい「勝ち筋」を創出できるのではないか.
著者
山中 英明 久能 昌朗 塩見 一雄 菊池 武昭
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.454-458_1, 1983-10-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
13
被引用文献数
6 7

シュウ酸に基質特異性があり, 感度のよい酵素法の適用を検討し, さらに各種食品中の含量を測定した. 定量はシュウ酸に oxalate decarboxylase を作用させてギ酸にし, 次いで nicotinamide-adenine dinucleotide (NAD) とともに formate dehydrogenase を作用させ, NADHの生成に伴う340nmの吸光度の増加量から算出した. 植物性食品61種, 動物性食品30種のシュウ酸を測定したところ, 高含量のものは植物性食品に限られ, ホウレンソウの1,760mg/100gを最高に, ツルナ894mg/100g, 緑茶426mg/100gなどが高く, 水産物ではアオノリ193mg/100g, テングサ165mg/100gなど海藻にかなり高いものがあった. 動物性食品はいずれも低含量であり, 魚肉0.3~3.7mg/100g, 牛肉8.0mg/100gであった. ホウレンソウの生長に伴いシュウ酸含量が増加すること本認めた.
著者
杉山 喜一 栗城 大輔 松岡 亮輔 増田 泰伸 久能 昌朗 大後 栄治
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.8, pp.245-256, 2020-08-15 (Released:2020-08-26)
参考文献数
58
被引用文献数
1

According to previous studies surveying dietary supplements for sports athletes, proteins and amino acids are mainly utilized to decrease post-training fatigue. Additionally, peptides as an intermediate product, composed of two or more amino acids, are well known as an anti-oxidative supplement that shows high absorbency. Egg White Peptide (EWP), produced by hydrolyzing egg white with a neutral protease, has strong anti-oxidative effects, and is anticipated to be useful as a functional ingredient for improving endurance training and maintaining physical conditioning. The results of three human studies suggest that EWP is effective and applicable to decrease muscle damage following physically demanding training sessions. Moreover, it is expected that administration of EWP would be highly effective for the treatment of muscle fatigue during prolonged strenuous exercise (marathon running) and/or overtraining. This overview of the effect of EWP dietary supplementation for daily endurance activities indicates its utility in improving physical conditioning of athletes and citizen runners.