著者
亀坂 安紀子 吉田 恵子 大竹 文雄
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.183-186, 2010 (Released:2011-06-27)
参考文献数
2
被引用文献数
2

本稿の目的は,結婚や出産といったライフステージの変化が人々の幸福度や充実度に及ぼす影響について,日本と米国のデータを使用したパネルデータ分析によって明らかにすることである.分析の結果,日本と米国のデータで共通して,配偶者の存在は個人の幸福度や充実度に非常に大きな影響を与えており,かつそのような傾向は男女の別にかかわらず観測されることが示される.また,日本と米国のデータで共通して,健康状態も人々の幸福度や充実度に大きな影響を与えており,求職中の人や喫煙者は,幸福度や充実度が低いことも示される.しかし,子供の存在に関する推定では,日本の結果と米国の結果に大きな違いが生じている.日本人の場合,子供がいないと幸福度や充実度が低いという結果が得られたが,米国の結果からは,必ずしもそのような事実は観測されない.労働参加に関しても,日米で若干異なる結果が得られている.
著者
亀坂 安紀子 田村 輝之
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.54-56, 2011 (Released:2012-03-29)
参考文献数
8

東日本大震災発生以前には,景気回復の期待から上昇基調にあった株価は,震災後一旦急落し,その後数日のうちにある程度回復した.近年,日本の株式市場で大きな取引シェアを占めているのは海外の投資家であるが,震災直後も,海外の投資家は市場で活発に取引を行っていた.震災前後に日本の株式をネットで購入していたのは,海外の投資家だけであったが,この間主要な売り手となっていたのは,東証1部では証券会社(証券自己売買)であり,東証2部および東証マザーズでは,個人投資家であった.海外の投資家の内訳をみると,震災が発生した3月には,北米,アジアの投資家がネットの買い手となっていた一方,欧州の投資家はネットの売り手となっていた.震災前後における市場別(3市場1・2部等の合計,東証1部,東証2部,東証マザーズ)のVAR分析においても,3市場1・2部等,東証1部のデータを使用した場合は,証券会社や海外の投資家の売買が市場に相対的に大きな影響を与えており,東証2部,東証マザーズの場合は,個人投資家や海外の投資家の売買が大きな影響を与えていた.
著者
亀坂 安紀子
出版者
横断型基幹科学技術研究団体連合(横幹連合)
雑誌
横幹連合コンファレンス予稿集 第4回横幹連合コンファレンス
巻号頁・発行日
pp.94, 2011 (Released:2012-03-14)

本講演では、これまで科学的な分析が困難であると考えられてきた幸福度の分析の現状を解説する。特に近年、経済学者の間で進められている経済学の体系と矛盾がない分析方法に重点を置いて説明する。経済学はこれまで、物質的な豊かさに注目して経済発展のありかたなどを考えてきたが、ここ近年は他の面にも目を向けることが必要であると考えるようになっている。現在、どのような科学的な分析な可能であると考えられており、どのような課題が残されているか説明する。