著者
五十嵐 徳子
出版者
比較経済体制学会
雑誌
比較経済研究 (ISSN:18805647)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.17-34, 2009
被引用文献数
1

本稿では,約70年間同じソビエト社会にあった,ロシア,グルジア,ウズベキスタン,そしてロシア国内のタタルスタンのジェンダーの状況を明らかにするとともに,今後のジェンダーの動向を予測している。分析に際しては,女性の就労と役割分担,そしてそれらに影響を与えているであろう各社会の有する規範に焦点を当て,「旧ソ連の共和国で大量の専業主婦は誕生するのか」という課題について考察を行っている。
著者
五十嵐 徳子
出版者
日本スラヴ・東欧学会
雑誌
Japanese Slavic and East European studies (ISSN:03891186)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.39-58, 159, 2002-03-31

筆者は、旧ソ連の共和国におけるポスト社会主義のジェンダーの状況を明らかにしている。本論において、グルジアにおけるジェンダーの状況ロシアと比較することにより明らかにしている。ロシアにおいては、1997年にペテルブルグ市において502人(男性231人、女性271人)にジェンダーに関する意識調査を実施した。また、グルジアでは、ロシアと同種のアンケート調査をグルジア共和国の首都トビリシの10地区でトビリシ大学文学部社会学科の協力を得て1999年4月に男女700人(男性333人、女性367人)に対してジェンダーに関する意識調査を実施した。このアンケートの質問項目は筆者が1996年1997年にロシアのサンクトペテルブルグで行ったものとほとんど同じものであるが調査項目数は、全部で21ある。なお、グルジアでのアンケートはロシア語版からの翻訳によってグルジア語で行った。本論は、グルジアとロシアのジェンダーに関する統計資料をまず、提示し、ロシアとの統計的な違いあるいは共通点について述べる。そして、次にグルジアにおけるジェンダーに関する意識調査について簡単に述べたのち、ロシアと比較しながら、グルジアのジェンダー意識を分析している。そして、最後に、結びとして全体を総括し、今後の傾向について予測している。なお、旧ソ連全土における意識調査は実施しておらず、最終的な結論を導き出すことができなかったが、これまでの旧ソ連のジェンダー研究にはなかった新しい研究であり、これが、旧ソ連のジェンダー研究に一石を投じるものになれば幸いである。