著者
五島 瑳智子 丹羽 千鶴子 桑原 章吾 林田 敏夫
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.11, no.6, pp.358-360, 1963-11-25 (Released:2010-09-24)
参考文献数
5

卯尾田および高井(195)が合成したBis-(5-nitrofurfurylidene)-acetenguanylhydrazoneは,培地に.加えてから加熱滅菌すると高い抗菌価を示すが,無菌的に培地に加えた場合は抗菌価が低く,培地内で物質の変化が予想された。 三浦ら(1961)は上記の物質をアルカリ環境で有機溶媒中で加熱すると閉環反応が起こりastriazineをもつ化合体が生成することを発見し,強力な抗菌作用を示す3-Amine-6-[2-(5-nitro-2-fury1)-viny1]-as-triazineの合成に成功した。その抗菌力については木村ら(1962)の検討がある。私らは上記の2化合体のメチル誘導体である1,5-Bis(5-nitro-2-fury1)-3-pentadienone N4-methy1-amidinohydrazone・HC1(以下,BNP-Mと略す)および3-Methylamino-6-[2-(5-nitre-2-fury1)viny1]-as-triazine・HCI(ANT-Mと略)の新鮮分離ブドウ球菌および赤痢菌に対する抗菌価をしらべたので,つぎにその成績のあらましを報告する。
著者
三宅 美行 宮崎 修一 辻 明良 金子 康子 山口 恵三 五島 瑳智子
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.42, no.Supplement2, pp.34-50, 1994-10-24 (Released:2011-08-04)
参考文献数
17

新しいβ-ラクタマーゼ阻害剤tazobactam (TAZ) とpiperacillin (PIPC) との1: 4の配合剤で あるtazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC) のin vitroおよびin vivoにおける抗菌力を既存のβ-ラクタム系抗生物質と比較検討した。TAZ/PIPCはグラム陽性菌および陰性菌に対して幅広い抗菌スペクトルを示し, 陽性菌 では対照薬剤のなかで最も強く, 陰性菌においてもimipenem, ceftazidimeにつぐ強い抗菌 力を示した。特にβ-ラクタマーゼ産生株では配合相手であるPIPCよりも強い抗菌力を示 した。マウス全身感染治療実験において TAZ/PIPCは試験株のすべてに優れた治療効果を認 め, とくにβ-ラクタマーゼ産生株の感染ではPIPCよりも優れた治療効果を示した。また, TAZ/PIPCのβ-ラクタマーゼ非産生株単独感染での治療効果はPIPCとほぼ同様であったが, 産生株との混合感染においては明らかにPIPCより優れていた。β-ラクタマーゼ産生株であるEscherichia coli KU-3によるマウス尿路感染治療実験で, TAZ/PIPC投与マウスは PIPC投与マウスに比較して速やかな腎内生菌数の減少が観察された。また, 同様の方法にて尿路感染時の腎内PIPC濃度を測定したところ, PIPC投与群ではβ-ラクタマーゼによる分解を受けPIPC濃度はTAZ/PIPC投与群より有意に低下していたが, TAZ/PIPC投与群は正常マウスとほぼ同様であり, 分解を受けなかった。さらに, 臨床治療時を想定したヒト血中濃度シミュレーションシステムを用いてTAZ/PIPCの殺菌効果をβ-ラクタマーゼ産生株についてPIPCと比較したところ, TAZ/PIPCは PIPCより著明な生菌数の減少と再増殖の遅延が認められた。またE. coliとKlebsiella Pneumoniaeの混合接種においてもTAZ/PIPCはPIPCと比べ両菌に対し著明な殺菌作用が認められた。混合感染などβ-ラクタマーゼ産生株による感染治療においてTAZ/PIPCが優れた治療効果を示したのは, 感染部位に産生されたβ-ラクタマーゼによるPIPCの分解をTAZが阻害するためPIPC本来の抗菌力が発揮されたことによると考えられた。
著者
李 秀華 五島 瑳智子 村井 貞子 小林 明子 辻 明良 高 細水 胡 尭蒙 〓 玉秀
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.47, no.10, pp.611-618, 1999-10-25

中国の病院関係者における<I>Staphyloococcus auresus</I>の保菌状況を調べることを目的とし, 1996年, 1997年に中国4省4都市7病院で, 健康者25人と入院患者25人を対象に咽頭と鼻前庭粘膜から<I>S. aureus</I>を分離した。分離株の血清型別および薬剤感受性を調べ, 1996年に行った東京の1病院の成績と比較した。<BR>1) 中国7病院での<I>S. aureus</I>の分離率は4%~25%であり, 東京の1病院での41.2%に比べ有意に低率であった。<BR>2) 健康者からの<I>S. aureus</I>の分離率は入院患者よりも高く, 健康者では医療従事者の方が一般人に比較し高い分離率を示した。また, 咽頭からの分離率が鼻前庭に比較して高かった。<BR>3) 中国7病院で分離された<I>S. aureus</I>の血清型はコアグラーゼVII型がもっとも多く, エンテロトキシン型は一定ではなかった。これに対して日本の1病院から分離された<I>S. aureus</I>42株のうち12株がコアグラーII型, エンテロトキシンC型であり, これらはすべてMRSAであった。<BR>4) 抗菌薬感受性について, 中国7病院での分離株はimipenem, panipenemに対する感受性が高く, tetracycline, erythromycin, roxithromycin, azithromycin には低い成績を示したが, MRSAは分離されなかった。一方, 東京の1病院では42株中17株 (40.8%) がMRSAであったが, すぺての菌株がarbekacinに4.0μg/mL以下, vanoomycinに2.0μg/mL以下のMICを示した。<BR>中国7病院と東京の1病院で分離された<I>S. aureus</I>の各種抗菌薬に対する感受性パターンの相違は, これまでの両国における感染症と治療法の差および医療体制の違いによるものと考えられるが, 西洋医学が急速に導入されている中国において, 今後の薬剤耐性菌の推移を検討する基礎資料となるであろう。