著者
広瀬 雅樹 井上 義一
出版者
独立行政法人国立病院機構(近畿中央胸部疾患センター臨床研究センター)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

B細胞活性化因子であるBAFFおよびAPRILが自己免疫性肺胞蛋白症 (APAP)患者血清および気管支洗浄液中で健常者および肺疾患コントロールと比べ過剰産生されていることを明らかにし た。肺局所のPAP病変域においてもマクロファージがBAFFおよびAPRILを発現していることを免疫組織学的に確認した。B細胞活性化因子の過剰産生を認めたことより、B細胞自体の増加も考えられたが、APAP病態におい てB細胞が顕著に増加していることは認められなかった。以上の我々の結果は、APAP治療には全肺洗浄、GM-CSF吸入、B細胞活性化因子抑制という集学的治療の必要性を示唆するものであると考える。
著者
中田 光 井上 義一 中垣 和英 田澤 立之
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

エラー!平成18年度に引き続き、19年4月〜20年3月までは、特発性肺胞タンパク症(自己免疫性肺胞タンパク症)の末梢血及び気管支肺胞洗浄液中のマクロファージ、リンパ球のFACS解析を行った。末梢血では、リンパ球中でもT細胞とNK細胞の減少が見られた。サブセットではCD8陽性細胞が減少していた。CD4T細胞のうち、memory, effectorの数は減少していないが、naiveT細胞が減少していた。興味深いことにCD4T細胞の一部はautoMLRで増殖期に入っており、活性化していることが示唆された。CD19陽性B細胞では、B1cell, B2cellの割合は健常者と変わりないが、CD138陽性形質細胞の割合が上昇していた。単球では、CD86陽性細胞の割合は変わらないが、抑制性のシグナルに関与するPDL1の発現が低下していた。この低下は、単球をGM-CSF存在下で培養することで、回復した。以上のことから、本症では、抗GM-CSF自己抗体の存在により、単球マクロファージのPDL1の発現が低下し、抑制性のシグナル伝達障害により、T細胞の活性化やB細胞の成熟促進がおこるのではないかと思われる。一方、患者肺胞洗浄液では、リンパ球の増加が見られ、洗浄液中のMCP-1濃度と相関していた。また、抗GM-CSF自己抗体価とMCP-1濃度に相関が見られた。肺においては、GM-CSFシグナル伝達障害により、MCP-1濃度が上昇し、リンパ球の遊走と流入が起こると思われる。
著者
井上 義一 中田 光
出版者
独立行政法人国立病院機構(近畿中央胸部疾患センター臨床研究センター)
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

我々は、抗GM-CSF自己抗体を基盤とした肺胞蛋白症(PAP)診断のアルゴリズムを確立し、国内PAP患者の集積を行った。新潟大学と国立病院機構近畿中央胸部疾患センターで症例データベースを作成(248例)、米国シンシナテイ子供医療センター等と国際共同疫学調査として解析を行った。わが国初、世界最大規模の特発性PAP(多くは自己免疫性PAP)の疫学データを発表し臨床像を明らかにした。更に欧米と共同で国際登録及び比較を開始するに至った。
著者
岡田 全司 大原 直也 吉田 栄人 鈴木 克洋 井上 義一 源 誠二郎
出版者
独立行政法人国立病院機構(近畿中央胸部疾患センター臨床研究センター)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

1.結核菌症のキラーT細胞分化機構:(1)抗結核キラーT細胞から産出されるGranulysin〔15kdのGranulysin(15KGra)〕が結核殺傷に極めて重要な役割を果たしている発見をした。GraはMφ内結核菌を殺傷した。(2)結核患者キラーT細胞から分泌されるkiller secretory protein(Ksp37)が血清中で低下していることを初めて明らかにした。(3)15K Gra DNAワクチンは結核予防効果を示した。(a)15K Granulysin DNAワクチン(b)9K Granulysin DNAワクチン(c)分泌型9K Granulysin DNAワクチン(d)Adenovirusベクター/15K Granulysinワクチンをすでに作製した。(4)15K Gra Transgenicマウスを初めて作製し、Granulysin transgenicマウスは生体内の抗結核菌殺傷作用のみでなく、結核に対するキラーT細胞の分化誘導を増強した。また、結核菌に対するT細胞増殖能増強作用とIFN-γ産生増強効果を示した。2.新しい結核予防ワクチンの開発(1)新しいDNAワクチンの開発(1)BCGワクチンより1万倍強力な結核予防ワクチン(HVJ/Hsp65+IL-12DNAワクチン)開発に成功した。(2)カニクイザルの系で世界で初めて、結核予防ワクチンの有効性を示した。(Vaccine 2005)これらのワクチン効果とキラーT誘導活性は相関した。3.新しい結核治療ワクチンの開発(Hsp65DNA+IL-12DNAワクチン)上記のHsp65+IL-12DNAワクチンは結核治療ワクチン効果も示し、世界で初めて結核治療ワクチンを創製することに成功した。これらの治療ワクチン効果と、IFN-γ産生細胞の増殖(Elispotアッセイで測定)活性は相関した。
著者
岡田 全司 吉田 栄人 大原 直也 鈴木 克洋 井上 義一 露口 一成
出版者
独立行政法人国立病院機構近畿中央胸部疾患センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

(1)新しい結核治療ワクチンの開発:HVJ-エンベロープ/HSP65 DNA+IL-12 DNAワクチンはマウス及びヒト結核感染に最も近いカニクイザルを用い、多剤耐性結核や超薬剤耐性結核に対し、治療効果(結核菌数減少及び延命効果)を発揮する画期的なワクチンであることを発見。(2)この抗結核効果がキラーT細胞分化誘導と関係。(3)15K granulysinタンパクが結核菌に対するキラーT細胞分化誘導活性を示すことを発見。IL-6 やIL-2と相乗的なキラーT分化誘導を示した。(4)granulysin Tgマウスを作製した。