著者
井上 芳恵 中山 徹
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.57-66, 2004
被引用文献数
1

本研究では、民事再生法等、法的な手続きによる大型店撤退事例を取り上げ、段階別の行政・地元の対応状況を分析した。九州の事例では、民事再生法申請の直後から、雇用、融資面での迅速な対策がとられている。一方、跡地利用に関しては、比較的早期に後継店が決定している事例では、行政、商工会・会議所による関与はあまり見られず、民間で解決している事例が多い。また、全国の事例からは、再生計画が提出されるまでは地元では具体的な動きが取れないが、計画案が出され閉鎖店舗として発表された時点では、既に撤退を避けられない状況であることが明らかとなった。最後に、今後大型店撤退に対して取るべき対応策について、段階別、手法別に検討した。
著者
井上 芳恵 中山 徹
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.218, 2003

【目的】近年全国的に中心市街地を始めとした各地域で大型店の撤退が相次ぎ、消費者、地域経済に大きな影響を与えている。そこで、大型店撤退による消費者の買い物行動の変化、撤退後の買物の満足度、またどのような消費者層に影響を及ぼしているかについて、現状把握、分析を行うことを目的とする。【方法】大型店倒産によって全店舗が一時休業し、その後未だ再開のめどが経たない店舗の立地する熊本県人吉市において、消費者に対してアンケート調査を行った。調査対象地は、撤退大型店立地する中心商店街周辺及び、そこから1.2kmほど離れた幹線道路沿道の郊外大型店周辺の2地区とし、留置式自記式アンケート調査を平成14年4月に実施した。配布総数732票に対して、有効回答数は458票、有効回答率62.6%であった。【結果】大型店撤退前後の買物場所の変化では、撤退大型店を利用していた人が、撤退後には食品中心スーパー、郊外大型店などに買物場所を変えている。それにともない買物理由も、商品に関する理由から利便性に関する理由に変化しており、やむを得ず利用している消費者も見られた。大型店撤退による買物の満足度は、中心商店街周辺に居住する高齢世代ほど、不便さ、不満足さを強く感じている。その背景として、それらの消費者は、従来撤退大型店の利用頻度が高く、買物には徒歩、自転車を利用する人が多かったため、近隣の大型店撤退により日常生活に多大な影響を受けている。今後の課題として、大型店の郊外出店が中心市街地からの大型店撤退と関連しており、消費者の利益を追求する際には、撤退時の消費者の影響についても検討する必要があると考えられる。
著者
井上 芳恵 中山 徹
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.739-744, 2002-10-25 (Released:2017-11-07)
参考文献数
2

本研究は、大型店撤退の特徴を分析すること、及び大型店撤退への行政の対応策を把握することを目的とする。本研究より得られた結果は以下の通りである。1.半数以上の自治体で大型店の撤退が見られ、半数以上の事例では撤退により消費者の買物行動や周辺の小売業に影響を及ぼしている。大型店撤退後の跡地の利用状況は約3割はまだ未定である。2.大型店撤退に対する行政の対応策は今のところ情報収集が中心であり、法的な対応策はほとんど取られていない。
著者
井上 芳恵 中山 徹
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.54, no.7, pp.573-581, 2003-07-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
7
被引用文献数
1

This paper aims to analyze the impacts on consumers by the closure of large-scale shopping stores. Studied were how their shopping behavior changed, to what degree they got satisfaction from shopping after the closure, and what types of consumers were most affected. 1) Most affected may be the elderly people living near the city center who used to frequent the closed large-scale shopping center that was within walking or cycling distance from their homes. 2) The consumers had to change their shopping place to supermarkets or suburban shopping centers, and their choice of stores changed from preference to convenience; in other words, some consumers have only limited choice. 3) The elderly consumers living near the city center must feel inconvenience and their shopping satisfaction should be much less than before. 4) It should be pointed out that the opening of suburban large-scale shopping centers are often linked with their closure in the city center. If businesses have their mind on the interests of customers, they should investigate in what way a closure of their business at one place would affect their customers; they should try to balance their interest against their customers' interest.