- 著者
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井本 稔
大内 辰郎
- 出版者
- 公益社団法人 日本化学会
- 雑誌
- 日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
- 巻号頁・発行日
- vol.1986, no.4, pp.585-590, 1986-04-10 (Released:2011-05-30)
- 参考文献数
- 19
- 被引用文献数
-
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Hückel MO法およびab initio RHF MO法によってラジカル重合における成長反応の活性化エネルギーEp≠ は, ラジカルのSOMOとモノマーのLUMOの固有値の差幅が大きいほど小さくなることを知った。また笛野らの報告によって, 6種のラジカルがエチレンに付加する場合にも同じ結論になることを計算した。その結果は式(3)としてまとめられる。その理由を7種のモノマーの成長反応について考察した。ラジカルのSOMOはまずモノマーのHOMOと作用する(摂動エネルギー, ΔE1)。新しくできるSOMOはつぎにLUMOと作用する(摂動エネルギー,ΔE2)。SOMO-HOMOの摂動では電子はモノマーからラジカルに流れ, SOMO-LUMOの摂動では電子はラジカルからモノマーに移行する。その電荷移動の大きさはΔEに比例する。この場合はΔE1の方がΔE2より大きく, したがってモノマーからラジカルへ電荷移動が起こる。その電荷移動が成長反応のすすむ条件の1部になるとして, 次式(10)を提出した。Ep≠=C-γ(ΔE1-ΔE2) (10)式(10)から式(3)を導くことは容易であった。ただしフロンティァMOで計算したΔE1が1.9±0.4eVという定数値になることが式(3)の誘導を可能した。