著者
大石 修司 人見 秀昭 酒井 正雄 小林 英夫 永田 直一
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.33, no.12, pp.1401-1407, 1995-12-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
12

Swyer-James 症候群5例について臨床的に検討した. 平均年齢は41歳 (20歳から70歳), 全例が男性. 5例ともに胸部X線上左肺の透過性充進を認めたが, 精査の結果3例で病変が両側に存在し, 2例で病変の不均一性が認められた. 胸部CT検査が病変の分布および重症度をもっとも正確に検出した. 133Xe吸入シンチグラムでの洗い出し遅延は, 本症候群の特徴である air trapping を示す所見であり, 胸部X線上 air trapping が明らかでない症例には特に有用な検査であることが判明した. 本症候群の成因については気管支病因説が有力とされており, 自験例も画像的には後天性気管支病因説に合致するものと考えられた. しかしながら, 左肺に, しかも男性に多いという特徴を有し, さらに肺炎の既往の明らかでないものも多く, 先天素因の関与も否定できないと考えられた.
著者
阿部 達也 橋本 貴尚 小林 隆夫 人見 秀昭 海老名 雅仁 藤盛 寿一 阿見 由梨 早川 幸子 藤村 茂
出版者
一般社団法人 日本結核病学会
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.90, no.9, pp.625-630, 2015 (Released:2016-09-16)
参考文献数
19

〔目的〕病院職員に対する結核曝露のリスクを,インターフェロンγ遊離試験(IGRA)の陽性率を指標として後ろ向きに比較した。その際,「病院環境曝露」を結核曝露のリスクとして仮定した。〔対象〕2010年12月から2012年4月の間にIGRAを行った職員870人を,病院環境曝露の有無により以下の群に分けて解析した。非曝露群は雇用時に測定を行った新入職者161人,曝露群は接触者健診受診者を含む既職者709人であった。〔方法〕IGRAはクォンティフェロンTBゴールド®3Gを用い,非曝露群を対照として,曝露群における陽性オッズ比(OR)をロジスティック回帰分析で求めた。〔結果〕全体として陽性率は6.7%で,2群間の陽性率(1.9% vs 7.8%)には有意差を認めた(P=0.005)。さらに,非曝露群を対照とし,性別,勤続年数,喫煙歴,および飲酒歴で調整した曝露群の陽性OR(95%信頼区間)は4.1(1.4-17.6)(P=0.007)であった。〔結論〕病院の職場環境ヘの曝露はその年数にかかわらず結核感染の潜在的なリスクとなっている可能性が示唆された。