著者
大石 修司 人見 秀昭 酒井 正雄 小林 英夫 永田 直一
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.33, no.12, pp.1401-1407, 1995-12-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
12

Swyer-James 症候群5例について臨床的に検討した. 平均年齢は41歳 (20歳から70歳), 全例が男性. 5例ともに胸部X線上左肺の透過性充進を認めたが, 精査の結果3例で病変が両側に存在し, 2例で病変の不均一性が認められた. 胸部CT検査が病変の分布および重症度をもっとも正確に検出した. 133Xe吸入シンチグラムでの洗い出し遅延は, 本症候群の特徴である air trapping を示す所見であり, 胸部X線上 air trapping が明らかでない症例には特に有用な検査であることが判明した. 本症候群の成因については気管支病因説が有力とされており, 自験例も画像的には後天性気管支病因説に合致するものと考えられた. しかしながら, 左肺に, しかも男性に多いという特徴を有し, さらに肺炎の既往の明らかでないものも多く, 先天素因の関与も否定できないと考えられた.
著者
大石 修司 桂 幸一 杉山 圭作 小林 英夫 松岡 健 永田 直一
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.115-120, 1994-02-20

我々は, 経過中急速にクッシング症候群を呈した肺小細胞癌の1例を経験したので報告した.症例は51歳の女性.咳嚥及び背部痛を主訴に1989年5月当院を受診.胸部X線写真にて右中肺野に腫瘤影を認め, 右中葉原発の肺小細胞癌でT2N2M1, StageIVと診断した.化学療法(CDDP+VP-16, ADR+ACNU+VCR)を施行したが, 効果判定はNo Changeであった.1990年5月頃より易疲労感・ふらつきを覚え, 顔や手の色素江差も自覚.同年7月には著明な低K血症を呈し再入院となったが, 満月様顔貌, 四肢筋力の低下, 顔や手の色素沈着, 高血圧が確認され, 低K血症を伴う代謝性アルカローシスがあり, ACTH産生腫瘍によるクッシング症候群が疑われた、血中ACTH及びコルチゾール値は異常高値を示した.経過中にアスペルギルス肺炎を併発し第41病日に死亡.剖検にて肺原発巣と肝転移巣での腫瘍部ACTH濃度の高値を確認した.