著者
沢井 淳志 山本 隼 今村 國康 都竹 愛一郎
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.J56-J65, 2018 (Released:2018-01-25)
参考文献数
12

本論文では, 高精度かつ高安定な周波数源として, 地上デジタル放送波を利用した発振器を提案している. 地上デジタル放送では, ルビジウム原子発振器を用いて放送波を作っており, 基準周波数源として利用可能であると考えられため, まず, 地上デジタル放送波の周波数偏差と安定度を測定し, 安定度を劣化させる要因について検討している. その結果, 平均時間400秒以上で, 安定度の指標である二標本標準偏差が1×10-12以下になり, 高安定な発振器の周波数源として使用可能であることを明らかにしている. この結果をもとに, 水晶発振器を地上デジタル放送波に同期させ, 地上デジタル放送波と同じ長期安定度を有する発振器を製作している. さらに, 事前に取得した地上デジタル放送波の周波数偏差を用いることにより, 周波数偏差が5×10-12以下の極めて精度の高い発振器も製作している.
著者
町澤 朗彦 青木 哲郎 岩間 司 鳥山 裕史 今村 國康 土屋 茂 金子 明弘 前野 英生 高橋 幸雄
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J96-D, no.10, pp.2308-2318, 2013-10-01

時刻情報は重要な社会基盤となっている.そこで,日本標準時システムに直結した信頼性の高い時刻配信システムを開発し,NTPサーバntp. nict. jpとしてインターネットを介して公開したので報告する.本システムは,インターネットにおける標準的な時刻同期プロトコルであるNTPを利用しているが,安定して時刻を配信するために,耐障害性,過負荷対策,将来にわたるサービスの維持,セキュリティ対策,Stratum 1の提供,GPS非依存などの特徴を有している.また,実運用から得られた利用統計情報を解析した.2012年末現在,1日当りのリクエスト数は約1億7千万,クライアントは約1500万IPアドレスであり,世界230の国と地域に広がっている.更に,ピーク時には1秒間に約13万リクエストの利用があることが明らかになった.一方,1日のポーリング頻度が1回以下のクライアントが約8割であること,並びに,1台の時刻サーバしか参照していないクライアントが約9割であることなど,クライアントの時刻維持が不十分であることが推測される.更に,クライアントのネットワーク距離分布から,インターネットの直径が従来の推定値よりも大きいことを示した.