著者
今村 圭介
出版者
国立大学法人 東京医科歯科大学教養部
雑誌
東京医科歯科大学教養部研究紀要 (ISSN:03863492)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.17-31, 2017 (Released:2018-11-18)

This paper examines the generational change in the use of Japanese loanwords in Palauan. The Japanese occupation of Palau from 1914 to the end of World War II generated inevitable social change which impacted the Palauan people and their language. During this time over 850 Japanese loanwords were adopted into Palauan. Now, seventy years after the end of the Japanese rule,Japanese loanwords still constitute a considerable fraction of the Palauan language. However, the number of Japanese loanwords in use has been gradually decreasing and the meaning of some loanwords is changing. We conducted questionnaires and interviews surveying the use of the 850 plus Japanese loanwords with 6 Palauan natives of different generations. The results suggested that the use and comprehension of the Japanese loanwords vary among the speakers and decline generationally.
著者
今村 圭介 岩村 きらら 若森 大悟 宮﨑 捷世 濵野 良安 範 静 沈 璐
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.40-55, 2023-03-31 (Released:2023-04-08)
参考文献数
53

本稿は,ミクロネシア地域の南洋諸島の主要8言語における日本語起源借用語(JOL)の比較考察を行うものである.これまでの当該地域のJOLの研究は個別で行われることが多く,比較研究がほとんど行われてこなかった.そのため,JOL数など各言語における日本語の影響の違いが,どのような要因によって形成されたのか,明らかでないことが多い.本稿において各地域の詳細な社会的・歴史的・言語的背景とともに,JOL全体の数及び意味分野ごとの数の違いを考察することによって,各地域における言語的影響及び日本統治の影響の検証を試みた.その結果,次のことが明らかになった.1)各言語におけるJOL全体の数の違いは「日本人との交流の密度」,「接触前の文化的距離」,「文化的同化への志向」,「日本語使用の威信」の違いによって形成されると考えられる.2)取り入れられたJOL数は意味分野によって明確な差が存在し,それらは現在まで残る日本統治の現地人への影響の違いを表している.
著者
Daniel Long 小西 潤子 今村 圭介 斎藤 敬太
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

この研究で旧南洋群島に当たるパラオ共和国のアンガウル島における接触言語「アンガウル日本語」の存在を指摘し、その特徴や社会的・歴史的背景、さらには接触言語学的な分類について考察した。現地調査に基づいた分析、参与観察、面接調査に加えてアンガウルを離れてコロールに移り住んでいる島民も多数調査した。調査の目的は以下の2点にあった。(1)アンガウル島民がどのような日本語を話しているか。特に戦後育ちの島民で、日本滞在経験もなく、日本語学習経験がないパラオ人が日本語を使っているか。(2)「アンガウル日本語」は言語学的にどのような言語変種(ピジン、クレオー ル、混合言語、中間言語、など)として分類されるか。