著者
小西 潤子 ロング ダニエル
出版者
沖縄県立芸術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究では、日本統治時代以降に日本語や日本の流行歌を参照して創作されたパラオの日本語(混じり)の歌(現地ジャンル名:デレベエシール。以下、パラオ日本語歌謡)を収集し、民族音楽学的・言語学的観点からその特徴を分析して、「パラオらしさ」を描き出した。また、パラオ日本語歌謡50曲を選びパラオ初の五線譜付歌詞集としてとりまとめるとともに、代表曲15曲のレコーディングとCD制作をし、現地に還元した。
著者
ロング ダニエル 任 榮哲
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
vol.117, pp.37-67, 2000

本論では,「方言認知地図」という手法を用い,韓国の大学生400人余りを対象にしたアンケート調査から,韓国語の地理的変種に対する使用者の認識を追究する.結果としては,まず,方言の認知領域が行政区画である「道」と一致する傾向の強いことがわかった.そして,韓国人は,北部諸方言の詳細な特徴がわからなくても「北のことばは自分たちとは違う」と意識しており,朝鮮半島を南北に分断する政治的境界線がインフォーマントの言語変種意識に強く反映されている.また,ソウルで話されていることばが「最も快適なことば」として全国的に高い支持を得ているものの,それが「標準語」ではなく,「ソウル方言」と認識されているという興味深い結果も得られた.さらに,偏差値を算出すると,それぞれの地方の話者が母方言への愛着を持っている様子が浮き彫りになった.なお,各地で地元の方言が好意的に捉えられている中で,慶尚道だけに「方言コンプレックス」の傾向が現れるという特徴的な現象も見られた.
著者
ロング ダニエル 磯野 英治 塚原 佑紀
出版者
首都大学東京小笠原研究委員会
雑誌
小笠原研究年報 (ISSN:03879844)
巻号頁・発行日
no.31, pp.31-40, 2007

本論で小笠原諸島の欧米島民が持つ日本語アクセント体系の実態を記述する。調査した結果、返還前に言語形成期を迎えた中年層と返還後にそれを迎えた若年層との間に顕著な違いが見られた。中年層話者はアクセントの型による単語の意味区別をしない無型アクセントとなっている。一方、若年層のアクセントは東京式アクセントとほぼ一致している。返還前に生まれ育った話者が無型アクセントになっている原因は、英語を母語とする人が日本語を習得したときに類別語彙が完全には習得できなかったことと、一型アクセントとなっている八丈方言を欧米系が耳にしていたこと、の2つが重なったことだと考えられる。世間で言われているような「テレビの影響」によって無型アクセントの話者の「有型化」が起こり類別語彙ごとに東京式アクセントを獲得する例は、これまでの研究では実証されておらず、不可能と思われる。むしろ東京など関東地方から島に移り住んで来た多くの東京式アクセント話者と日常的に面と向かってことばを交わしているという言語接触によってアクセントの有型化が起きたのではないかという結論に至る。